バイデン氏、移民急増で国境対策の大統領令-他に選択肢なしと説明

AI要約

バイデン大統領はメキシコからの不法移民の亡命申請を制限する大統領令を発表し、移民流入対策を強化することを明言した。

大統領は、超党派案が共和党の反対で成立しなかった経緯やトランプ前大統領の影響力に言及し、今回の措置の必要性を説明した。

移民流入問題は有権者の関心事項であり、バイデン政権の対応が今後の展開や民主党内の立場に影響を与える可能性がある。

(ブルームバーグ): バイデン米大統領は4日、メキシコから不法に越境してくる移民の亡命申請を制限する内容の大統領令を発表した。夏季の移民流入急増を阻止するため、単独で行動するしか「選択肢がなかった」と述べた。政権としてこの問題に最も踏み込んだ措置となる。

ホワイトハウスで演説したバイデン氏は、国境対策を盛り込んだ超党派案が今年早い段階でいったんまとめられたものの、自分に政治的得点を与えたくないトランプ前大統領の意向を反映した共和党議員の反対で成立に至らなかった経緯に言及した。

大統領は、超党派案をほごにするようトランプ氏が共和党議員に指示したのは「極めてシニカルな政治的動き」だとして非難。記録的な移民流入によって圧迫されている米国の亡命プロセスに「秩序」をもたらすため、今回の措置が必要になったと説明した。

メキシコからの1日当たりの越境者数が2500人を上回った時点で亡命申請を停止し、この数が少なくとも1週間にわたり1500人を下回った場合にのみ、制限を解除する。米当局者が4月に「遭遇」した不法移民の越境者は既に1日当たり約4300人と記録された。

世論調査によれば、移民急増は11月の米大統領選で有権者の主要な関心事項の一つで、再選を目指すバイデン氏を脅かしかねない。一方で、新たな措置が裁判で争われるのは確実であるほか、この問題を巡り民主党内の立場の違いが先鋭化する恐れもある。

大統領は「率直に言って、超党派の法律制定を通じて問題に対処するのが望ましかった」と述べた上で、今回の措置に批判的な民主党議員に対しては、移民制度を「一段と公平・公正」とする方法について「今後数週間」に話すつもりだとして忍耐を訴えた。

「移民を歓迎する国として米国を守るため、われわれはシンプルな事実に直面しなければならず、国境の安全を今、守る必要がある」とし、「米国民の善意も限界に近づきつつあり、何もしないことは選択肢ではない」と語った。