標的は「民間人の家ごとつぶす」─女性と子供が必ず犠牲になるイスラエル軍の空爆方法

AI要約

イスラエル軍は、AIによって生成された標的を家族ごと攻撃し、大量の巻き添え被害が出ていることが明らかになる。

ハマスの作戦によると、イスラエル軍は「家」を攻撃する選択をしており、家族も巻き添えにされている。イスラエルの集団監視システムがこの戦術を助長している。

自動ソフトウェアが家族の場所を特定し、イスラエル軍が家を爆撃する流れが明らかになっている。

標的は「民間人の家ごとつぶす」─女性と子供が必ず犠牲になるイスラエル軍の空爆方法

AIによって大量に生成された、「人間の標的」(多くの無関係の人も含む)を排除する際、イスラエル軍は「効率化」のため、積極的に、家族の家ごと標的をつぶすという方法をとった。イスラエル軍は、民間人の犠牲を最小限にとどめる努力をしていると公式には主張するが、大量の巻き添え被害が出ることはあらかじめわかっており、気にも留めていなかったという実態が、関係筋の証言で明らかになる。(この記事は第3回/全5回)

イスラエル軍による殺害手順の次の段階は、ラベンダーによって生成された標的をどこで攻撃するかを決めることだ。

イスラエル軍の報道官は取材に対して、「ハマスがその工作員や軍事的な装備を民間人の集まるところの中心に配置し、組織的に民間人を人間の盾とし、病院、モスク、学校、国連施設といった配慮が必要な施設を含む民間の建造物のなかから戦闘をおこなっている。イスラエル軍は国際法に拘束されているので、攻撃は軍事目標と軍事工作員にのみ向けられている」と主張した。

取材した6人の情報筋は、ハマスの広範なトンネルが意図的に病院や学校の下を通っていたり、ハマスの戦闘員が救急車を使って移動していたり、無数の軍事装備が民間人の建物の近くに設置されていたりするとして、ある程度はイスラエル軍と同じことを言っていた。彼らは、こうしたハマスの作戦のせいで、イスラエルの攻撃で民間人が殺害されていると述べる。他方で人権団体は、これは犠牲者を出したことに対するイスラエルの責任を回避する言い方だと警告している。

しかし、イスラエル軍の公式声明とは対照的に、これらの証言者は、イスラエル軍の現在の爆撃が前代未聞の死者数を出している主な原因は、軍が組織的に標的が暮らす「家」を攻撃し、その家族も巻き添えにしているからだと説明する。そしてその理由の一部は、インテリジェンスの観点から自動化されたシステムを用いて家族の家をマークするほうが簡単だからだ。

実際、何人かの証言者は、ハマスの工作員が民間人の住む場所から軍事活動を展開した数多くの事例とは逆に、イスラエル軍は組織的な殺害の一環として、軍事活動がおこなわれていない民間の家屋のなかにいる容疑者を爆撃するという選択を日常的に、積極的におこなっていると強調した。こうした選択がおこなわれるのは、ガザ地区におけるイスラエルの集団監視システムの設計が関係している。

情報筋の証言によると、ガザ地区の住民はみんな地区内のどこかに住む場所を持っているため、軍の監視システムは個人とその家族の家を簡単かつ自動的に「紐づける」ことができるという。

工作員が家に入った瞬間をリアルタイムで特定するために、さまざまな自動ソフトウェアが開発された。それらのプログラムは何千もの個人を同時に追跡し、いつ家にいるかを特定し、標的を担当する管理官に自動的に警告を送り、管理官はその家を爆撃の対象に指定する。いくつかあるソフトウェアのなかで、今回の調査で初めて明らかになったものは、「パパを探せ」と呼ばれるものだ。

「何百もの標的をシステムに登録し、誰をいつ殺せるか、タイミングを待つ。包括的な人狩りとも呼ばれるこのプロセスでは、標的生成システムが作るリストをコピー&ペーストするだけだ」

このような運用がなされているのは、データからも明らかだ。国連の数字によれば、戦争開始後1ヵ月間の死者の半数以上に当たる6120人は1340世帯に属していた。そしてその多くが、家のなかで世帯全員が殺害されたものだった。

今回の戦争で世帯全員が家のなかで爆撃を受けた割合は、2014年のガザ地区におけるイスラエルの軍事作戦(これまではイスラエルが当地でおこなった戦争のなかで最も死者が多かったとされる)よりもはるかに高い。これは、この手法が目立っておこなわれていることを示唆している。