「個」はそろうのに、なぜ勝てない 名門・中大バレー部の主将が導き出したシンプルな答え「言葉や行動に出す選手が少なかった」

AI要約

中央大学バレーボール部が順天堂大学との最終戦で勝利し、優勝を決める瞬間を迎える。

主将の柿崎晃がチームに勝利をもたらす活躍を見せ、喜びと次の挑戦への意欲を表す。

過去の苦難を乗り越え、新主将のリーダーシップでチームが団結し、目指す四冠に向けて前進している。

「個」はそろうのに、なぜ勝てない 名門・中大バレー部の主将が導き出したシンプルな答え「言葉や行動に出す選手が少なかった」

勝てば優勝が決まる、順天堂大学との最終戦。2セットを連取し、第3セットも24-18。中央大学がマッチポイントを迎えた。梅本春之助(3年、鎮西学院)のサーブから順大の攻撃をレシーブで切り返し、そのまま梅本がバックアタックを決めた。勝利の瞬間、スパイクにつなげる殊勲のレシーブでビクトリーポイントを演出した柿崎晃(4年、北海道科学大高)は、握りしめた両手を高く突き上げた。

「苦しい瞬間がフラッシュバックして、勝った瞬間は素直にうれしかったです」

主将として迎える初めてのシーズン。今年度のチームが掲げる「四冠」に向けてまず一つ目を達成した。喜びはあふれたが、次の瞬間にはすぐ切り替えていた。

「ここで喜ぶのはもちろん大事ですけど、また次があるので。自分たちの代は2、3年生の頃から(試合に)出ている選手が多いので、いろんな思いをしてきた分、うれしいけど『ここから引き締めてまた頑張ろう』という思いでした」

中大で味わう優勝は2年前、2022年の秋季リーグ以来。振り返れば、それからの時間は苦しさと悔しさの連続だった。

今年度のチームがスタートした際、同じ学年の選手同士で主将を決め、理由とともに野沢憲治監督へ伝えた。選手と監督、どちらからも同意が得られて、初めて新主将が誕生した。

現在の4年生はキャリア豊富とはいえ、課題もある。野沢監督が「一つのチームとしてより強く、まとまりを得るためには、対話を重ねることが必要だと思っていた」と明かすように、その一つが強い「個」がそろうからこそ「チームとしてどうまとまっていくか」だった。全員が同じ方向へ進めるように。第一歩となる主将の選出と決定も「簡単にOKを出さず、話し合いを重ねるつもりだった」と野沢監督。そんな思惑を上回るプランを、柿崎が示してきた。

「去年負けたこと、うまくいかなかった悔しさ。その前のインカレ。失敗した経験を生かして、あの悔しさを晴らすためにどうやって取り組んでいくか、ということを具体的に僕のもとへ持ってきた。そこまで出してくるなら任せよう、と(主将に)決めました」(野沢監督)