オコン&ガスリー同士討ち、激怒アルピーヌは「思い切った対応」を検討……懲罰的なドライバー交代の可能性も?

AI要約

F1モナコGPでアルピーヌのチームメイト同士が接触し、チームは懲罰的な措置を検討中

アルピーヌは今季モナコGPで苦戦が続く中、チームメイト同士の接触が発生し、深刻な懸念を抱えている

チームは選手交代や行動規範の制定など、様々な対策を検討中

オコン&ガスリー同士討ち、激怒アルピーヌは「思い切った対応」を検討……懲罰的なドライバー交代の可能性も?

 F1モナコGPでチームメイト同士の接触が発生したアルピーヌは、今後も同じようなトラブルが起きることを防止するために、懲罰的なドライバー交代を含めてあらゆる選択肢を検討しているようだ。

 アルピーヌは今季ここまで苦しい戦いが続いてきたが、モナコGPの予選ではピエール・ガスリーが10番手、エステバン・オコンが11番手と今季ベストのポジションを確保した。

 しかし決勝スタート直後、そのアルピーヌ勢は同士討ちを演じてしまった。カルロス・サインツJr.(フェラーリ)がパンクを喫してポジションを落としたことで、アルピーヌの2台は9番手と10番手に繰り上がっていたが、オコンはターン8“ポルティエ”でガスリーのイン側に飛び込んだ。しかし2台が並んで通過できるような広い箇所ではなく、両車のホイール同士が接触……オコンのマシンは宙を浮くように飛び上がり、激しく路面に叩きつけられた。結局彼のマシンはサスペンションとギヤボックスにダメージを負い、リタイアすることになった。

 ガスリーはタイヤをパンクさせたものの、その直後にセルジオ・ペレス(レッドブル)らのクラッシュによる赤旗でレースが中断となったことで、その間にタイヤを交換。リスタート後はミディアムタイヤで76周を走り切って10位入賞を果たすことができた。

 なお今季初入賞したガスリーはオコンとの同士討ちに憤慨しており、オコンに対して「変化を起こす」よう求めた。そして次戦5グリッド降格のペナルティも受けたオコンは、事故の責任を認めてチームに謝罪している。

 ただ今回の同士討ちに対して、チームは深刻に捉えているようだ。チーム代表のブルーノ・ファミンはCanal+のインタビューに対して、ピットウォールで怒りを示している。

「マシンはかなりのダメージを負ってしまった。左リヤのサスペンションは曲がり、ギヤボックスのケーシングが破損した。ギヤボックス全体を交換することになるが、かなりの作業だ」

「こうしたインシデントは悲しいものだし、我々がまさに見たくなかったものだ。エステバンの飛び込みはまったく場違いなもので、これも我々として見たくなかったことだ。相応の結果が下るだろう」

 状況に対してどの程度シリアスな対応になるのか? その質問に対するファミン代表の答えは「思い切った対応をとることになるだろう」というものだった。

 このファミン代表の発言は、不必要な同士討ちを引き起こしたことに対しての罰として、オコンを1レース出場停止にするという、直接的な警告だと解釈する向きもある。

 しかしファミン代表の言葉の解釈は難しいものでもある。彼のフランス語での発言「trancher dans le vif」は直訳が難しく、英語に翻訳するとすれば最も近いのは「cut to the chase」あるいは「cut right into the core」。さらにこれを日本語に訳せば、”要点を言え”とか”問題の核心に切り込む”という意味になる。

 なおファミン代表はその後のチームによるプレスリリース以外では、同士討ちやその後の措置に対するスタンスについては公に発言することはなかった。彼のコメントは以下の通りだ。

「チームとして我々は、今回2台のマシンの間で発生したインシデントを非公開で検討し管理することになる。チームを危うくする可能性のある状況は、避ける必要がある」

 一方でmotorsport.comとしては取材を通じてファミン代表が今回起きたことについて憤慨していることを把握しており、シーズンを通じて続いてきた状況に、決定打を与えるものだったと考えている。

 アルピーヌは2024年シーズン開幕戦以来、競争力の厳しい状況もあり、ポイント獲得のチャンスが訪れた場合には、それを逃すわけにはいかないと明確にしており、ドライバー達に互いに競う際には細心の注意を払うように指示してきた。

 モナコGPでもその方針が貫かれていて、ガスリーはレース後に後ろのマシンが先行するマシンを助けることになっていたのだと明らかにした。

「ただ悲しいよ。この状況にはガッカリしている。特に、レース前に何をすべきかという明確な指示があったし、予選で前に出た人に対して、レース中は後ろのマシンが手助けすることになっていた」

「それが戦略だった。残念ながら、そうはならなかった。特にこういうシーズンでは、こうしている余裕はない。絶対に話し合う必要がある」

 ガスリーとオコンは、マイアミGPのオープニングラップでもアグレッシブなバトルを繰り広げた。この時にクラッシュしなかったのは単に運が良かったもので、警鐘は鳴り続けていたと言えるだろう。

 マイアミGP後にチームは、ドライバーたちにそうした行為を控えるように伝えていたが、モナコGPでは結局それ以上の問題が発生してしまった。そのため、ファミン代表はこのままでは不味いと感じているようだ。

 彼らがどんなアクションを起こすかはまだ分からないが、同じようなことを繰り返さないために、あらゆる選択肢が検討されているのは間違いない。

 金銭的なペナルティ、オコンとガスリーによるポジション争いを完全に阻止するチームオーダー、さらにドライバーを変更するという核心的な選択肢も含まれている可能性がある

 もうひとつの可能性としてあるのは、2016年のメルセデスがルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグとの間で接触が起きた後に採ったような、遵守すべきことを定めた行動規範を作成することが考えられる。当時メルセデスが作成した基準では、軽率な行動をとった場合には1レースの出場停止の可能性があることを明確に警告していた。

 ファミン代表はモナコGP終了後にドライバー2人と話をしたとされている。アルピーヌはオコンがこれまでもフェルナンド・アロンソやフォース・インディア時代のセルジオ・ペレスといったチームメイトとの接触トラブルを起こしてきた歴史があることを知らないわけではない。

 アルピーヌがチームにとってベストな行動をとるために、どれだけ大きな一手を指す必要があると感じているのか、周囲からも注目が集まっている。