【競輪・ボート】昨年ＭＶＰコンビが夢対談！　古性「ボートはエンジン音がすごい」石野「競輪はバンクの角度エグい」

　夢の対談が実現－。５、６月は大阪でボートレース、競輪のビッグレースを開催。住之江ボートでは５月３１日～６月５日に開設６８周年記念「Ｇ１・太閤賞競走」、岸和田競輪では６月１１～１６日に「Ｇ１・第７５回高松宮記念杯競輪」を実施する。そこで両競技で昨年のＭＶＰに輝いた石野貴之（４１）＝大阪・９０期・Ａ１＝と、古性優作（３３）＝大阪・１００期・ＳＳ＝が本音サク裂のトークバトルを展開。大阪城を目前に大阪開催のビッグレースへの意気込みも語った。素顔の２人ものぞける永久保存版のクロストークだ。

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　－２人は初対面ではなく、知り合いとのこと。

　古性　はい。３月（３０日）にあった石野さんの祝勝会（２３年のグランプリ優勝）へ行きました。そこでの石野さんは凄かったですね。主役やのに、自分で全部をやってはりました。

　石野　僕は古性君の祝勝会（３月１５日。２３年の寬仁親王牌優勝）に行けなかったんですよ（ＳＧ・ボートレースクラシック出走中のため）。残念でしたね。

　－お互いの印象は？

　石野　古性君はレースぶりが凄いので、もっと怖い人かと思っていましたけど、普段はめちゃくちゃ優しい人で、ギャップがありましたね。

　古性　でも、レースに入るとやっぱりスイッチが入りますね。前検で競輪場に入ってすぐです。

　石野　僕はスイッチが入るのは前検ではなく、初日の朝ですね。

　－石野さんはＳＧ、古性さんはＧ１。ビッグレースになると強いイメージ。

　石野　そうですね。ＳＧは１１回でＧ１は９回。

　古性　でも、Ｇ１の優勝回数ってあまり言われないでしょ。

　石野　そう。ボートレースはＧ１よりＳＧ。競輪もＧ２よりＧ１やグランプリでしょう。

　古性　僕はＧ２優勝がありませんから。もちろん獲りたいですけど、競輪選手として聞かれるのはやっぱりグランプリとＧ１ですから。

　－２人はともに昨年のＭＶＰ。

　古性　自分から獲れるものではないですから、選ばれてうれしいです。自分のレースを評価されたことですし、１年間をしっかり見てもらえたことに感謝します。

　石野　そうですね。自分でどうこうできるものじゃないので、常に自分のレースをして、評価されてのことですから。

　古性　今後も獲れるものは全部、獲りたいですね。滝澤正光校長（現在は日本競輪養成所の所長）からデビューする前に言われたんです。ダブルでグランドスラムをするようにって。もちろんグランプリを含めた完全グランドスラムをダブルで達成したいです。まだ現実的ではないですけど…。

　石野　僕もＳＧは獲れるだけ獲りたいです。

　－話題を変えて、２人ともプロ野球の始球式を経験された。古性さんは昨年に甲子園で、石野さんは今年に京セラドームで。

　古性　あのときは肘から先の感覚がなくなりましたね。やり投げみたいなフォームでしたし。それでもよく届いたと思います。めちゃくちゃ緊張しました。

　石野　僕も緊張しました。小中高と野球をやっていましたが、マウンドに立つとビビりました。

　古性　球場中の視線がマウンドに来ますから、凄い緊張感です。ネットで見ましたが、石野さんは近大附属高校で野球部の主将だったんですね。

　石野　でも、ピッチャーはやったことがなかったのでね。見よう見まねで投げました。

　古性　僕はアーム投げみたいでしたが、石野さんは決まっていました。

　石野　ホンマに見よう見まねなんです…。それが小っちゃいころからの憧れの場所で投げられるなんて。うれしかったです。

　－ボートレーサー、競輪選手とも、レースに入れば外部と遮断。寝食は宿舎での生活に。

　石野　最近は個室が増えてきていいですね。

　古性　僕は個室より大部屋がいいんですよ。

　石野　やっぱり個室はゆっくりできます。部屋では（ＤＶＤプレーヤーなどで）ドラマなどを見ていますね。

　古性　僕は本をよく読みますね。ただ、Ｇ１などでは、いつも清水裕友が遊びに来るんですよ。いろんな選手とコーヒーを飲みながら話をすることが多いです。

　石野　ボートレーサーにはコーヒーにこだわっている選手がいますよ。

　古性　そういえば脇本（雄太）さんがコーヒーにこだわっていたときがあって、持ってきた生豆を煎るんです。その匂いがキツかったみたいで、苦情が来て今はやってはりませんけど…（笑）。

　石野　そういえば、宿舎でスピードチャンネル（競輪専門ＣＳ放送）が見られるところがありますよ。

　古性　競輪の宿舎でもどこやったかな…レジャーチャンネル（ボートレース専門ＣＳ放送）が見られるところがありますね。

　－お互いの競技を観戦しに行くことは？

　古性　ボートレース場に４回ほど行きました。そのうち３回は石野さんのレースです。ボートはエンジン音が凄いですね。これは競輪にはない迫力ですよ。まくり差しに入るときは、見えているんですか？

　石野　実はあんまり見えていない…（笑）。感覚が染みこんでいて、ここでハンドルを切ったらこうなるとか。でも、スタートの隊形で、１マークの雰囲気がだいたい読めます。上から見ているような感覚でレースをしていますね。

　古性　へぇ～、エグいですね。

　石野　バンクで自転車に乗ったことがありますけど、あの角度がエグいですね。（走路より）下の方しか走れませんでした。古性君はあのバンクで凄い競走ができるんですから、やっぱり凄い。

　－石野さんが競輪選手、古性さんがボートレーサーだったら…。

　古性　どの競技でもトップになる人は、対応力が凄いんですよ。だから石野さんはどの競技の選手になっていたとしても凄いと思います。

　石野　でも、僕は１年３６５日ずっと練習ができないですよ…（笑）。

　古性　いやいや、僕は休みなく練習していませんよ。週に１日以上は休んでいますから。完全オフの日は寝ています。寝ないと回復しませんし。

　石野　僕も睡眠が大事やと思います。宿舎にも枕を持ち込んでいます。

　古性　そうですね。僕は以前、マットまで持ち込んでいましたが、今は枕だけですね。ホンマに睡眠は大事ですよ。

　－ボートレーサーはフライング（Ｆ）、競輪選手は失格などが多くなると罰則がある。

　古性　（期間内に）失格が多くなると黄檗山（黄檗宗大本山萬福寺＝京都府宇治市）に行って泊まりがけの修行です。

　石野　それは厳しそうですね。

　古性　食事中は音をさせると怒られます。沢庵を食べるときもですよ。

　石野　沢庵は食べると音が出るやないですか。

　古性　ボリッと音をさせるのはダメなんです。それに最後は茶碗をきれいにするために、みそ汁をちょっと入れて、沢庵で磨くんです。米粒の粘りけまで取るんですよ。座禅も朝昼晩とあります。

　石野　エー凄すぎる。僕ら（ボートレーサー）はＦ（フライング）２とか、優勝戦でＦとかやってしまうと碧南（日本モーターボート選手会常設訓練所）に行きます。でも、沢庵でお茶碗を磨く訓練はないですよ（笑）。

　古性　でも、ＳＧの優勝戦でＦは厳しい罰則がありますよね。

　石野　そう。ＳＧ優勝戦でＦは２年、準優なら１年も（ＳＧに）出られなくなるんです。

　古性　エー厳しい。そうなると税金がヤバいですよね。ＳＧを優勝して、その後にＦとかは…。

　石野　それはヤバい。

　－最後に石野さんは太閤賞競走、古性さんは高松宮記念杯競輪へ向けての意気込みを。

　石野　Ｇ１は９回優勝のうち２回が太閤賞です。それに開催中の６月３日は誕生日。優勝できるように頑張ります。

　古性　地元で高松宮記念杯を３連覇できるように頑張ります。獲れたらトリプルグランドスラムを目指しますよ。

　◆古性　優作（こしょう・ゆうさく）１９９１年２月２２日生まれ、３３歳。大阪府出身。清風高卒。１６８センチ、７７キロ。日本競輪学校（現・日本競輪養成所）１００期生として卒業。２０１１年７月に岸和田でデビュー。主なタイトルはＫＥＩＲＩＮグランプリ（２１年・静岡）、Ｇ１・オールスター（２１年・平）、全日本選抜（２２年・取手、２３年・高知）、高松宮記念杯（２２、２３年・岸和田）、寬仁親王牌（２３年・弥彦）。通算獲得賞金額は９億７４４９万９０４８円（１５日現在）。

　◆石野　貴之（いしの・たかゆき）１９８２年６月３日生まれ、４１歳。大阪府出身。１６６センチ、５２キロ。近大付高卒。ボートレーサーを養成するやまと学校を９０期生として卒業。２００２年５月に住之江一般戦でデビュー。初優勝は０３年１０月の宮島新鋭リーグ。主なタイトルはＳＧ・グランプリ（１９、２３年・住之江）、オーシャンカップ（１０年・まるがめ、１５年・三国、１６年・鳴門）、チャレンジカップ（１６年・大村、１９年・桐生）、オールスター（１７年・福岡、２３年・芦屋）、グランドチャンピオン（１７年・鳴門）、クラシック（２１年・福岡）。通算獲得賞金額は１６億８０４１万６７４０円（１５日現在）