【ボート】23歳の定松勇樹がイン逃げでSG初優出初優勝 歴代3位のデビューからわずか4年7カ月

AI要約

若武者の定松勇樹が新たな歴史を刻んでボートレースオールスター・SGで初優勝を果たした。

定松は師匠の支えと舟足への自信を背負い、重圧に打ち勝っての快挙だった。

父の夢をかなえた定松は、グランプリ初出場を目指し、ボート界の頂点を目指す決意を示した。

 「ボートレースオールスター・SG」(26日、多摩川)

 新ヒーローの誕生だ。希代の若武者が新たな歴史を築いた。1号艇の定松勇樹(23)=佐賀・125期・A1=がイン逃げで完勝。通算10回目の優勝は、SG初優出初優勝となった。登番5000番台では初のSG覇者となり、デビューからわずか4年7カ月での戴冠は歴代3位のスピード記録。また、23歳での優勝は歴代4位。外マイで続いた馬場貴也が2着に入り、3着は森高一真。3連単は1530円の本命決着となった。

 重圧に打ち勝ち、歴史の扉を開けた。定松が予選首位らしい完璧なイン速攻で、先輩のSG覇者5人を完封。ゴール前から左手でガッツポーズも出し「ホッとした気持ちが強すぎて、出てしまった」と振り返った。

 優勝戦1号艇の重圧との戦い。そこに寄り添ったのが師匠の峰竜太だった。快進撃から日に日に緊張が増すまな弟子を「自分みたいに失敗のおかげで強くなる選手もいる」と支え続けた。それが重圧に打ち勝つ要因になり「師匠が竜太さんで良かった」と感謝を向けた。

 そこに舟足への絶対的な自信も加わり「遅れない起こし。様子を見て、誰も来ていないのを確認して、落ち着いて(1Mを)回った」と冷静なレースぶりにつなげることができた。

 定松がレーサーを志したきっかけは父の存在。「なあなあにするのが嫌い」と厳しく指導した父が、好きで観戦していたSGを見て養成所受験を決断した。養成所合格を喜び「こんな選手にならないかんね」と励ましてくれたが、入所直前の2018年8月に他界。「(SG制覇は)父の夢。見ててくれたらいいな」と、天国へ最高の報告ができることを喜んだ。

 歴代3位の年少記録でSG覇者となり、グランプリ初出場が濃厚になった。「この優勝で見えてきた。(グランプリの)常連と言われる選手になりたい」。父の夢、師匠の夢をかなえた孝行息子が、ボート界の頂点へ向けて歩みを進める。