再出場の高安が土俵の上では負け知らず、腰の痛みに耐え2日連続大関撃破、初賜杯の夢は消えても優勝争いキーマンだ

AI要約

東前頭3枚目・高安が、再出場からの大関連破を果たし、トップの座を奪った。腰の怪我から復帰し、豊昇龍戦に続く殊勲星を挙げた高安は、優勝争いのキーマンとして注目されている。

高安は元大関としての実力を存分に発揮し、国技館を沸かせた。急性腰痛症に悩まされながらも強い責任感を持ち、自らの初賜杯の夢は消えつつも、優勝争いに影響を与える存在として評価されている。

八角理事長や高田川審判長も高安の力強さとしぶとさを讃え、再出場時から優勝争いのキーマンとして見ていた。高安自身も痛みを避けつつ残りの試合に集中し、勝ち越しの可能性を模索している。

再出場の高安が土俵の上では負け知らず、腰の痛みに耐え2日連続大関撃破、初賜杯の夢は消えても優勝争いキーマンだ

◆大相撲 ▽夏場所10日目(21日、東京・両国国技館)

 東前頭3枚目・高安が、再出場からの大関連破をやってのけた。琴桜を上手投げで破り、トップの座から引きずり降ろした。腰を痛めて途中休場したが、復帰戦となった9日目の大関・豊昇龍戦に続く殊勲星を挙げた。2日目には新小結・大の里も破るなど、元大関の実力をいかんなく発揮。今後の優勝争いのキーマンになりそうな存在だ。2敗で首位は大の里に平幕の湘南乃海と宝富士を加えた3人。1差で琴桜、平幕の大栄翔ら7人が追う。

 元大関の気迫に、国技館が沸いた。琴桜との結びの一番。高安は激しい差し手争いの末に右四つで組み止め、左上手もガッチリつかんだ。相手が巻き替えて出てきたところを上手投げ。大関をはわせた。「厳しい相撲で、思い通りにいかなかった」と反省が口をついたが、再出場した9日目の豊昇龍戦に続き、またも結びで大関を撃破。「たくさんのお客さんの前で勝てて、気持ち良かった。やっぱり最高」。特別な空間で取る喜びをかみしめた。

 力士として責任感を果たす。3日目から「急性腰痛症」で休場。持病の腰痛とは長い付き合いで、早めの対処で再出場に望みをかけた。狙い通りに9日目から土俵に戻ってきた。腰の状態については「正直どうなるかは分からない。ここ2日間しっかり動いてくれている」と説明。「力士である以上、相撲が取れる状態なら、土俵に上がるだけだから」と強い覚悟を示した。

 今場所は初日に関脇・若元春に勝利すると、2日目に現在トップを走る新小結・大の里を破り、連勝スタートを切った。相撲を取ればいまだに“全勝”で、いずれも三役以上から白星をもぎ取っている。途中休場を余儀なくされながら、大関経験者の実力をいかんなく発揮。自らの初賜杯の夢はほぼ消えているが、優勝の行方を左右する存在となってきそうだ。

 八角理事長(元横綱・北勝海)が「力が強い。しぶとかった」と評価すれば、幕内後半戦の高田川審判長(元関脇・安芸乃島)は「びっくり。再出場した時から(優勝争いの)キーマンだと思っていた」と、たたえた。4勝1不戦敗5休で、勝ち越しの可能性は残している。「痛みがまた出ないように万全の状態をつくりたい。集中して残り5日間取り組む」と高安。34歳の終盤戦から目が離せない。(大西 健太)