「NBA挑戦もパリ五輪も大事」バスケ富永啓生(23歳)が“選択”を迫られる2024年の夏「ドラフト指名がなければ…」天才シューターの青写真

AI要約

富永啓生(23歳)は米ネブラスカ大学で印象的な活躍を見せ、NBAへの挑戦やパリ五輪を目指す夏を迎えている。

富永はシューターにとってシュート力よりも重要なのはシュートを打つ準備を整える過程であると語り、今回のNBA入りに向けた重要な選択に迫られる状況にある。

しかし、今までの人生で進路選択に悩んだことがないことから、富永がどのような基準で進路を選んできたのかについても探る必要がある。

「NBA挑戦もパリ五輪も大事」バスケ富永啓生(23歳)が“選択”を迫られる2024年の夏「ドラフト指名がなければ…」天才シューターの青写真

 米ネブラスカ大学での3年間を走り終えた富永啓生(けいせい)(23歳)。“マーチ・マッドネス”とも言われる「NCAAトーナメント」にチームを導くなど、アメリカのカレッジバスケ界で鮮烈なインパクトを残した。NBA挑戦、パリ五輪……大きな一歩を踏み出す夏を前に、日本が誇るシューターが現在地と未来を明かした。インタビューの様子はサブスク「NumberPREMIER」でご覧いただけます。

 シューターにとって、シュート力の次に大事なことは何なのだろうか。

 3年前、富永啓生にそう問いかけたことがある。富永は、迷うことなく、「シューターにとって一番大事なのはシュートを打つまでの過程」と断言した。

 打ったシュートが入るか入らないかはそのとき次第。それよりも、どうやればシュートを打てる状態を作れるのかが一番大事なのだという。相手の動きを見極め、頭を使って、シュートを打てる状態に持っていく。それが成功すれば、シューターとしての仕事は9割できたことになる。最後のシュートは身体にしみこんだ動きを再現するだけというわけだ。

 今回、NumberPREMIERの企画で、富永に「選択」というトピックでインタビューしたときに、そのことを思いだした。なぜなのかは後で改めて説明するとして、まずは、「選択」というトピックで話を聞きたかった理由から説明しよう。

 NCAAディビジョンIのネブラスカ大のキャリアを終えた富永はこの夏、昔からの夢だったNBA入りへのプロセスをスタートさせる。チームと交渉する窓口として、NBA選手をクライアントに持つタンデム・スポーツ&エンターテイメントとエージェント契約も交わした。選手として、人生において大きな岐路に差し掛かる夏なのだ。

 6月26~27日に行われるNBAドラフトで指名されることを期待する声もあるが、現時点では富永が指名される可能性は低い。そうなると、通常はNBAの登竜門と言われるサマーリーグやトレーニングキャンプに参加して自分を売り込むことになるのだが、そのサマーリーグが行われるのは7月中旬。7月下旬にはパリ五輪という大舞台も待ち構えており、スケジュール的に両方を選ぶことは難しい。そんななか、果たして彼はどちらを選ぶのだろうか。

 さらに、いくつかのチームからトレーニングキャンプ参加のオファーがきた場合にどのチームを選ぶのか。もしNBAの開幕ロスターに入れなかった場合、NBA傘下のGリーグに行くのか、別の国のリーグに行くのか。様々な選択を迫られる夏なのだ。

 そういった大きな選択を前に悩んだとき、富永はいったいどんなことを考え、誰に相談し、どんな基準で進路を選ぶのだろうか。これまで進路で迷ったときにはどうやって決めてきたのか。そのプロセスに興味があったのだ。

 しかし、富永から返ってきた答えは、正直、肩透かしだった。何しろ、これまで進路で悩んだことがないというのだ。

「今まで難しい選択をしたっていうことがあまりない」と富永は言った。