平戸海、大の里を立ち合いのスピードで圧倒「同学年には負けたくない」/夏場所

AI要約

大相撲夏場所9日目、平戸海が新三役大の里を押し出して勝利し、4勝5敗とした。大関琴桜は7勝目を挙げ、首位争いが激化している。

平戸海は速攻で大の里を圧倒し、自身の師匠からのアドバイスを活かして勝利を収めた。

昭和時代にも起きた大学生出身力士の活躍を振り返り、平戸海と大の里の対決が注目を集めている。

平戸海、大の里を立ち合いのスピードで圧倒「同学年には負けたくない」/夏場所

大相撲夏場所9日目(20日、両国国技館)東前頭2枚目平戸海(24)が新三役の小結大の里(23)を押し出して4勝5敗とした。大の里は2敗目を喫した。大関琴桜(26)は阿武咲(27)を突き落として7勝目を挙げ、平幕御嶽海(31)と湘南乃海(26)、宝富士(37)を加えた5人が2敗で首位に並んだ。トップを1差で大栄翔(30)ら平幕7人が追う大混戦となった。

電光石火。疾風迅雷の勢いで平幕平戸海が突き刺さる。1敗で首位に立っていた新三役の小結大の里を立ち合いのスピードで圧倒。4勝目を挙げた

「前みつを取って走ろうと思った。右を差されないように。引いてきたところをついていこうと思った」

左足から低く踏み込んだ平戸海が立ち合った瞬間に、左前まわしに手をかけた。迷わず、出る。大の里がこらえ切れずに引いたところを一気に押し出した。わずか3秒7。平戸海の師匠、境川親方(元小結両国)から受けたアドバイスは「絶対に右を差させるな」。181キロの大の里の得意を、43キロも軽い平戸海が厳しい速攻で完封した。

同学年。大の里は日体大在学時に2年連続で全日本選手権を制した「アマチュア横綱」。幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏み、所要6場所での新三役は昭和以降2位のスピード昇進。平戸海は中学卒のたたき上げ。各段優勝は1度もなく、今場所自己最高位まで番付を上げてきた。「入門した順番や学生出身などは意識しない。ただ、同学年には負けたくないと。自信はつきますね」。

昭和36年春場所。東農大出身で「学生横綱」の王座を獲得した内田(のちの大関豊山)が、幕下10枚目格付け出しの異例の優遇でプロデビュー。入幕後所要7場所で大卒力士として初めて大関へ昇進し、「インテリ大関」といわれた。中学を卒業して大相撲の門をたたく力士が多かった時代。当時の大関佐田の山(のちの横綱)は「あんな学生さんにゃ負けられない」と猛烈な対抗意識を燃やした。

「3年先の稽古」。大相撲にあって、競技相撲にはない言葉。体に染み込ませた得意の型には、うならせる味がある。(奥村展也)

■平戸海 雄貴(ひらどうみ・ゆうき) 本名・坂口雄貴。平成12年4月20日生まれ、24歳。長崎県平戸市出身、境川部屋。小学1年から地元のクラブで相撲を始め、平戸市立中部中3年時の全国中学選手権でベスト8。中学卒業に合わせ、平成28年春場所初土俵。令和3年九州場所新十両、4年秋場所新入幕。幕内通算82勝77敗(11場所)。生涯通算250勝200敗8休(49場所)。得意は突き、押し、右四つ、寄り。178センチ、138キロ。