スーパーバンタム級わずか3戦で早くも騒がれる井上尚弥「フェザー級転向」を考える
「井上尚弥vsルイス・ネリ」の試合を振り返ると、怪物・井上尚弥の圧勝で幕を閉じた。東京ドームでの試合は、井上選手の強さと危機管理能力を再確認させるものだった。
観戦者は井上選手が敗北から立ち上がる姿も見たいと語る。井上選手は穴がないだけでなく、ピンチになっても冷静に対応できる強さを持っている。
「井上選手はまだまだ見たことのないモンスターの姿を見せるだろう」と期待するファンも多く、エンターテイナーとしての魅力も持ち合わせている。
![スーパーバンタム級わずか3戦で早くも騒がれる井上尚弥「フェザー級転向」を考える](/img/article/20240519/6649dcf228cb7.jpg)
ー人生初のダウンと、そこから挽回しての衝撃的なKO劇。2024年5月6日に行われた井上尚弥vsルイス・ネリによる世界スパーバンタム級4団体統一王座戦は、終わってみれば怪物・井上尚弥の圧勝で幕を閉じた。東京ドームで試合を観戦していた『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』著者の東京新聞・森合正範氏と、ボクシング専門YouTubeチェンネル「BOXING and BOXING」運営者(B&B氏)が、試合を振り返りつつ、「井上選手はさらに階級を上げるべきか」「今後、見たい対戦カード」「引退の仕方」などについて語り合った。
※本文中の写真は井上尚弥vs.ネリ戦のものではありません。ご了承ください。
B&B 井上選手に話を戻すと、僕のなかで、井上選手のことは大好きなんだけれど、好きな選手がただ圧勝し続けてる試合を観続けるより、より強い選手と戦って負けてしまったとしても、そこからどう立ち上がるのかを見てみたいという気持ちもあるんです。それがボクシングを観る醍醐味の一つだとも思います。
だから井上選手に勝てるとしたら、どんな選手なんだろうと、よく考えてしまうんですけど、本当に穴がない。
森合 ですよね。ドネア選手との初戦で2ラウンドで左フックをもらって、瞼がふさがって右目が見えなくなるというか、相手やパンチが二重に見える状態に陥った。そういうときでも、グローブで右目を隠しながら闘ったという話を、井上選手本人から聞くと、どれだけ危機管理能力が高いのか驚きます。今回、初回でダウンしたときもまさにそうでした。
B&B 確かにピンチになったときの強さ、対応力は凄いですよね。だから、本当に不思議なんですよ。だって井上選手はこれまで、本当にピンチになったことって、ほとんどないはずですから。
森合 だから、まだまだ見たことないモンスターの姿が絶対あるんだろうなと思います。『怪物に出会った日』の取材をしていて思ったのですが、井上選手が途中で拳を痛めたりとか、減量が苦しくて試合中に足がつったりとか、本人からするといろいろなハプニングがあるんですが、対戦相手が気づいていないんです。
それを気づかせないということの凄さがまずあり、ハプニングがあってもしっかりカバーできる強さがある。
B&B そのうえで、ああいうドーム向きの試合というか、エンターテイナーとしても類いまれなものがあります。「神に愛される」じゃないですけど。