神奈川1部得点王独走「ジャンボ」大久保哲哉がFW特化の異色スクール開講、最重要スキルとは…

AI要約

神奈川1部FIFTY CLUBのFW大久保哲哉が得点場面に特化したサッカー塾「ジャンボ大久保ストライカースクール」を立ち上げた。

大久保はFWのスクールを立ち上げた理由やヘディングの重要性について語っている。

大久保が自身の経験や技術を指導する中で、得点への探究心を持ち続ける姿勢を示している。

 「ジャンボ」の愛称で知られる神奈川1部FIFTY CLUBのFW大久保哲哉(44)が、得点場面に特化したサッカー塾「ジャンボ大久保ストライカースクール」を立ち上げた。小学生を対象に、横浜市金沢区の「アディダスフットサルパーク」で小学生(1~3年、4~6年)の2カテゴリーで、シュートや得点部分にフォーカスした指導を行っている。

 現役ながら、なぜFWの異色のスクールを立ち上げたのか。大久保は言う。

 「自分の体が動く今なら、子供たちにデモンストレーションを見せられる。普通のサッカー教室の練習では、シュートを打つシーンがなく終わってしまうこともある。でも、ここはスクールではなくFWの塾。時間の半分以上は、フィニッシュ(シュート)を取り入れています。シュートは反復練習が全て。シュートに特化したスクールをつくって、参加した子供が、それぞれの所属チームに戻って生かしてもらえればと」

 大久保は駒大卒業後に横浜FC、柏レイソル、アビスパ福岡などでJリーグ通算99得点。現在はFIFTY CLUBでプレーし、今季も16試合14ゴールで得点ランク1位を独走中だ。

 どうしたら得点が取れるのか-。シュートのフォーム、体の使い方、トラップやターンなど、技術や理論を突き詰めてきた。その中で、得点を取るための重要なピースの1つが「ヘディング」だと言う。

 「毎年、プロで点を取る選手を見てきて、共通しているのはヘディングがうまいこと。身長は関係ない。大柄ではなくても、大久保嘉人選手、佐藤寿人選手、小林悠選手、興梠慎三選手、岡崎慎司選手もヘディングシュートがうまかった。カズさん(三浦知良)もそうです。カズさんは“ヘディングは技術だからね”と言ってました。僕もヘディングシュートが多い。周りは、背が高いからでしょ、と言うんですけど、その時点で違う。実際、長身でもヘディングで点が取れない選手が多い。ボールに向かう飛び方、落下地点の予測を含め、技術があるんです」

 特に、小学生時代から落下地点を予測する空間認知能力を身に付ける重要性を挙げる。大久保自身、中学まで長身が武器ながら、ヘディングを練習してこなかった。しかし、幼少期から父親と野球で遊び、父が打ったフライを捕る練習を繰り返してきたことで、空間認知能力が自然と身に付いていた、と自負する。

 「小学生の試合を見ていると、GKからのパントキックで落下地点が予測できない選手が多いんです。でも、うまいチームの選手は、簡単にハイボールの落下地点に入って収めている。どこにボールが落ちてくるか、分かっている。そういうトレーニングは、現実的にあまり見たことがない。自分の場合は、野球の遊びが功を奏しましたけど、小学生のころから、ヘディングの練習をすることで、空間認知能力も身に付くし、浮き球の処理を含め、将来的に役立つと思う」

 海外では、小学生のヘディング練習を禁止する国もある。だが、大久保は、体に影響がないよう、工夫しながらヘディングを取り入れている。「柔らかいボールを使ったりしています。保護者と本人の了承があれば、普通のサッカーボールでも練習します。その場合でも、まずは、ふわりとした弱いボールから始めて。ボールを当てる場所も、ポイントをつかめば痛さはない。それでヘディングシュートを決めて、怖くない、痛くない、楽しい、と思ってくれれば」

 足のシュートでは、大久保がプロ生活を通してつかんだ「キックのフォーム」と「シュートのコツ」も、出し惜しみなく伝えている。指導者のA級ライセンスを取り、小学生にも分かりやすい言葉で「技術を言語化」する術を学んだことも大きかったという。

 「ヘディングも、足でのシュートも、毎日コツコツやる中で“これ”というタイミングが個人の中で見つかる。そこにたどり着く手助けを寄り添ってできれば、こんなにいいことはない。自分の成功体験を含めて、自分なりのセオリーを伝えられれば」

 今もプロ生活を続ける大久保は、練習で必ず居残りシュートを日課にしている。

 「今でも、自分のシュート練習の中に、気づきがあります。気付いたことはノートに書いたり」

 飽くなき探求心で、44歳の今も得点を積み重ねる。同時に始めたFWのスクール。5年後、10年後に「ジャンボ塾」から名ストライカーが生まれるかもしれない。【岩田千代巳】

 ◆ジャンボ大久保サッカースクール 毎週木曜日開催。小学低学年は午後5時から、高学年は午後6時から。会場は「アディダスフットサルパーク横浜金沢」。体験、入会などの問い合わせは、LINEアカウント「ジャンボ大久保ストライカースクール」(IDはhirano1071)でのメッセージ、もしくは事務局の080・9302・1071まで。