「とにかく粘り強くやっていこう」相模原弥栄がPKで横浜創学館を下し3回戦へ

AI要約

第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選2回戦が行われ、相模原弥栄がPK戦で横浜創学館を破り3回戦進出。試合はスコアレスドローから展開し、機動力ある両チームの攻防が繰り広げられた。

菅野光裕監督は守備の強さを強調し、DF3原田泰地がMVPに輝いた。厳しい環境の中での100分間、選手たちは粘り強く戦い勝利を収めた。

DF3原田は試合を振り返り、「想定以上のメンタルを発揮できた」「苦しみを楽しさに変えた」とコメント。充実感満載の表情を見せた。

「とにかく粘り強くやっていこう」相模原弥栄がPKで横浜創学館を下し3回戦へ

 9月15日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選2回戦が県内の会場で行われた。横浜市泉区にある、かもめパークで横浜創学館と2回戦から登場した第2シードの相模原弥栄が対戦した。試合は0-0のまま、前後半80分が終了。10分ハーフの延長戦に突入したが決着がつかず、PK戦へ。先攻の横浜創学館、2人目、4人目が失敗。一方、相模原弥栄は4人全員成功し終了。試合は相模原弥栄がPK戦4-2で辛くも制し、3回戦に進出した。

 スコアレスドローでPK戦での決着となったが、互いに機動力を特長としたチームだけに見ごたえのあるゲームとなった。

 ロングボール、ロングスロー、カウンター、セットプレーと手数を存分に披露。相手陣内に攻めいり、チャンスを作る相模原弥栄。一方、横浜創学館はチャンスの数は少ないものの、ショートカウンターでゴールまで一直線。決定機の数では上回った。特に前半は3度のビッグチャンスがあったが、相模原弥栄GK今井敏貴(3年)のナイスセーブに阻まれた。

 後半は前半以上に相模原弥栄が攻勢を強めるなか、横浜創学館が耐えながら、ワンチャンスを狙う展開となった。ただ、互いにチャンスを決めきれず、延長戦、そしてPK戦になだれ込んでの決着となった。

 「選手権予選はトーナメントなので、うまくいかないことのほうが多くあります。そのことは選手には伝えていました。後半、チャンスは増えましたが、そのチャンスがなかなか決められないが選手権の初戦」と相模原弥栄・菅野光裕監督は今回のような試合は想定内だった。厳しいゲーム、もつれる試合が予想されたからこそ、指揮官が強調したのは、守備の強さ。

 「創学館さんはカウンターで力を発揮するので、最後まで粘り強くということは伝えていました。選手たちは身体を張って守ってくれました。K1(神奈川県1部リーグ)のチームが敗れたり、あるいは難しい試合をしているなか、いろんな経験をしていくとさまざま想定できます。とにかく粘り強くやっていこうと。結果、PKまでなりましたが、最後まで失点ゼロしなかったことが良かったです」と総括した。

 その菅野監督がMVPに挙げたのがキャプテンを務めるDF3原田泰地(3年)。「今のCBのコンビは昨年から試合に出ている選手。身体を張った守備、粘りのある守備を続け、そして味方に声を出し続けてくれました。そこが勝てた要因」と称えたが、DF3 原田は文字通り相手の壁となって、空中戦でも地上戦でも攻撃を封殺した。

 「選手権は毎年難しく、一段と違った空気がありました」と独特のムードを感じ取ったDF3原田。「(PK戦までもつれることは)最終的には想定していましたが、ここまで来たからこそ、全員で、気持ちをこめて戦えて勝てました」と胸を張った。午前10時キックオフ時点で31℃、湿度67%という酷暑のなかでのPK戦を含めた約100分間。それでも「苦しさよりも楽しかったかもしれません。応援で元気をもらえて、たくさんの時間、プレーができてよかったです」と、疲労困憊ながら勝って充実のDF3原田の表情はすがすがしかった。

(文・写真=佐藤亮太)