12発連勝”攻撃的3バック”にも改善点見つめる三笘薫「今日の相手だからできたところもある」

AI要約

日本代表MF三笘薫(ブライトン)は途中出場で存在感を示し、堂安律へのクロスで決定機を演出、守田英正のゴールをアシストした。トランジション強度の高さでも注目された。

バーレーン戦では相手からの強力なマークに苦しみながらも、プレー強度で光を放った。守備でもカウンターを防ぎ、攻撃陣をサポートした。

三笘はチーム内でのボールの受け渡しに課題を感じ、内外の関係性や距離感の改善を目指している。次の代表活動に向けて、さらなる磨きを重ねる意欲を示した。

12発連勝”攻撃的3バック”にも改善点見つめる三笘薫「今日の相手だからできたところもある」

[9.10 W杯最終予選 日本 5-0 バーレーン リファ]

 持ち味を封じられた中でも異彩を放った。日本代表MF三笘薫(ブライトン)は5日の中国戦(◯7-0)に続き、左ウイングバックで2試合連続の途中出場。前半9分にMF堂安律への完璧なクロスで最初の決定機を導き、後半19分にはMF守田英正のゴールをアシストしたほか、試合を通じてトランジション強度の高さでも攻守に存在感を示していた。

 酷暑のアウェーで拮抗した展開が続いたバーレーン戦。三笘には相手右サイドハーフのMFアリ・マダンが戻ってくる形でマークにつき、さらに絶妙な距離感で右サイドバックのDFビンセント・アニ・エマニュエルも待ち構えるという徹底的な警戒態勢が取られており、突破力という強みを見せられるシーンは限定的だった。

 それでも前半9分、ウイングバックからウイングバックのホットラインで最初のビッグチャンスを作った。三笘のクロスに飛び込んだ堂安のボレーは左ポストを叩いたが、中国戦では堂安から三笘へのクロスで2点目を奪っており、逆パターンを披露した形。三笘自身も手応えを感じるシーンだったようだ。

「ウイングバックと4-4-2だと相手が捕まえ切れないので、みんなも共通認識を持っているし、時間を作ってくれれば走れるスペースと時間があるし、堂安選手がそれをうまく使ってくれる。僕が中国戦で決められたように2枚釣れたところでファーが空くので、入らなかったけど再現性のあるプレーを出していきたいというところで、1試合目にもそれが出たし、いいプレーを出せたと思う」

 その後は三笘のサイドの警戒がより強まった中、プレー強度の高さで存在感を放っていた。前半32分には相手のカウンターに完璧なプレスバックでピンチを防止。後半2分には高い位置でのボール奪取からシュートカウンターの起点になった。これはFW上田綺世の2点目につながっており、勝利を決定づける隠れたビッグプレーだった。

 三笘によると、このプレーは自身がMF守田英正のゴールをアシストした4点目と共通しており、いずれも意識していたのは“ペナルティエリア幅”のポジショニングだったという。

「ウイングバックがペナ幅で走ることで相手も嫌だし、そこで失ってもすぐに切り替えればゴール前。よりゴールに近い形というのはブライトンでもやっているし、4点目もそうだけどなるべく最短距離というのは自分もトライしている。少しずつ噛み合ってきていると思う」。そう手応えを口にした。

 その後、三笘は4-0のまま迎えた後半28分に途中交代。昨季終盤戦は腰の負傷に苦しんだため、今回の最終予選がアジアカップ以来の代表復帰戦だったが、再三の突破とゴールを記録した中国戦、突破力以外でも違いを示したバーレーン戦と、あらためて幅広い能力を発揮した形となった。

 それでも今回対戦した2チームはアジアの中でもややレベルの落ちる相手。W杯優勝という目標を掲げて戦っている以上、試合後の三笘は課題に目を向けることも忘れなかった。

 三笘が課題に掲げるのは、自身が良い形でボールを受けることにもつながるCBとの関係性だ。この日の三笘は相手のサイドハーフとサイドバックの外側でパスをもらう場面が多く、目の前のブロックを打開するためには立て続けに2人を抜き切らなければならない状態。左CBのDF町田浩樹も三笘のタイミングを見計らう配慮は見せていたが、逆に息の合わないシーンも頻発していた。

「一番は相手のサイドバックとサイドハーフの間を行ければ良かったけど、なかなか突けなかったので“外外”の関係だった。それでも押し込めればいいけど、自分たちが狙いたいのはもう一つ内側のところ。そこの関係性や距離感はまだまだ改善しないといけない」

 そう課題を見つめた三笘は「後半も2本くらい合っていないところがあったので、ああいうところで失ってカウンターをされることもあるし、今日の相手だからできたところもあると思う。もう一回映像を見て話し合いたい」と述べ、次のように改善に意欲を見せた。

「相手のサイドハーフの選手をいかに食いつかせるかだったり、前に来た時にボランチがうまく顔を出してギャップを作ったり、SBだけでなくCBとボランチとの距離感でも決まってくるので、僕だけじゃなくて、その状況の最適解を毎回出していかないと綺麗に崩すことはできない。強い相手なら数回のチャンスになってくるので、もっともっと磨いていかないといけない」(三笘)

 そうした共通理解を深めていくにあたっては、ここから10月、11月と短いスパンで代表活動が控えているのはポジティブ。ただ、所属先と異なるシステムにトライしている三笘にとっては、頻繁な頭の切り替えも求められる。

「代表では今ウイングバックをやっていて、ブライトンではサイドハーフなので強度も、ポジショニングも、考えることもいろいろと違う。それをすぐにアジャストしていかないといけないし、監督が求めることをすぐにできないとブライトンでもスタメンを取れない。帰ってからも勝負が続くなと思います」

 クラブとの両立は代表選手の宿命だが、大事なシーズンは始まったばかり。まずはブライトンでのプレーに集中し、より良好なコンディションで10月活動に戻ってくることが期待される。