「技術は何歳でも上手くなれる」新戦力ながら川崎スタイルへの順応を見せる河原創が面白い

AI要約

ルヴァンカップの準々決勝第1戦で、川崎が27分の遠野大弥のゴールで甲府を1-0で下す。

川崎はリーグ戦で低迷し、タイトル獲得の可能性はルヴァンカップに集中しており、先勝を果たすも追加点を奪えず。

新戦力の河原創が中盤で好プレーを披露し、川崎のサッカーに早くも適応する姿を見せる。

「技術は何歳でも上手くなれる」新戦力ながら川崎スタイルへの順応を見せる河原創が面白い

[ルヴァン杯・準々決勝・第1戦]川崎 1-0 甲府/9月4日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 ルヴァンカップの準々決勝の第1戦、川崎と甲府のゲームは、27分の遠野大弥のゴールでホームの川崎が1-0で勝利を挙げた。

 リーグ戦は下位に沈み、連覇を目指した天皇杯でもすでに敗退している川崎にとって、事実上、今季のタイトル獲得の可能性はルヴァンカップに絞られている(9月からシーズンをまたいでACLにも参戦)。その状況で、アウェーでの第2戦に向けて先勝できたのは大きいが、ホームで何度もチャンスを作りながら追加点を奪えなかった点は消化不良にも映る。後半のエリソンのゴールもVARの介入によりハンドの判定となり、モヤモヤの残るゲームにもなったと言えるだろう。

 一方で川崎にとっては、リーグ・29節の札幌戦から中2日でのゲーム。多くの選手を入れ替えて臨んだなか、夏の新戦力であるレフティCBアイダル、GK山口瑠伊が先発として川崎デビューを果たし、無失点に貢献するパフォーマンスを見せた点は収穫だろう。

 そして何より、札幌戦の終盤にひと足早く川崎デビューし、この日は先発したボランチの河原創のプレーも印象深かった。

 福岡大卒業後、3シーズンを過ごした熊本や、1年半を所属した鳥栖でも、大木武監督や川井健太監督の下で、中盤のコントロールタワーとしていぶし銀の働きを見せていた26歳は、新加入の川崎でもらしさを発揮。

「縦パスをもう少し刺せていけると、良かったかなと思います。自分がワンテンポ遅いのかなというところもありましたし、今日、相手がブロックを組んでいたので無理して入れて、引っかかってカウンターも嫌だったので、少し無難にというか、安パイにいきました」

 甲府戦の後にはそう振り返ったが、中盤の底でパスを引き出し、何気なく縦に付けるその姿は、川崎のサッカーに早くもマッチしているように映った。

 川崎の新戦力は、独特なリズムとポジショニングでパスをつなぐサッカーに馴染むのに時間がかかるのが常である。

 ただ本人は「悪くはないかなと思いますが、あとはゴール前で受けた時のミスも目立ちましたし、改善すべきところは多くあるなと」と語るが、新顔とは思えないような落ち着きも見せている。

 確かに川崎は多くの主力選手が抜け、今過渡期にあり、多くの選手を入れ替えた甲府戦は、よりオーソドクスな戦いになっただけに、河原もよりシンプルなプレーを意識した点もあっただろう。

 ここから“川崎らしさ”という、多くの選手が掴むまでに時間を要する、スタイルにさらに適合していく作業において、自分の良さと調和を取りながら、頭の整理が追いつかないこともあるかもしれない。

 もっとも止める・蹴るを重視する川崎で「技術は何歳になっても上手くなれる」と実感している河原は、川崎の新たな中盤の担い手として期待を集めているのは事実である。

 大島僚太らキーマンたちとの相乗効果も楽しみだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)