プロに行きたいなんて「とても言えなかった」 大学で実績ゼロの右腕が2軍球団で変身…24歳が迫る新記録の意味

AI要約

オイシックスの上村知輝投手が、サイドスローからのクセ球を武器に2軍イースタン・リーグで18セーブを記録している。

上村は創価大学時代はリーグ戦登板わずか3試合で埋もれていたが、今季は4勝4敗18セーブ、防御率1.99の好成績を残し、NPB2軍記録更新の可能性もある。

2軍で残す数字が上村の未来を開く鍵であり、140試合近いシーズンを通して戦えることは、NPBを目指す上でプラスになると考えている。

プロに行きたいなんて「とても言えなかった」 大学で実績ゼロの右腕が2軍球団で変身…24歳が迫る新記録の意味

 今季からプロ野球の2軍イースタン・リーグに参入したオイシックスに、NPB各球団の注目を集める投手がいる。サイドスローからのクセ球を武器に、ここまでリーグトップの18セーブを記録している上村知輝投手だ。ただ創価大では、4年間でのリーグ戦登板がわずか3試合。なかなか信頼をつかめず埋もれていた投手だった。変身の理由と、2軍球団で積み重ねる数字の意味を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

 上村は、7月20日に兵庫県姫路市で行われたフレッシュオールスターにも選出され、全イースタンの6番手として1回無失点。完封リレーを達成した一員となった。かつてMVPに輝いたイチローや青木宣親を筆頭に、何人ものスターが駆け抜けた夢舞台への選出を「自分はまだ、ドラフトで指名された選手ではありません。その中で選んでもらえたのは本当に良かった」と謙虚に受け止める。そして驚きは、試合前の練習にあった。

 キャッチボールの相手を務めたのは、今季1軍初勝利も挙げたロッテの田中晴也投手だった。「ボールがグラブに入ってくるところでもまだ強くて、高めに抜けていく感じもないんです」。150キロの剛球を武器にする20歳に驚かされた。田中は高卒でドラフト3位指名され2年目。投げるボールに、ドラフト指名された選手との“違い”が詰まっていた。

 上村は新潟でプレーして3年目。戦いの場が独立のBCリーグからNPBの2軍に移った今季は、抑えとして4勝4敗18セーブ、防御率1.99(1日現在)という好成績を残している。特にセーブは、NPB2軍の最多記録を狙えるペースだ。リーグ記録は昨季、楽天の清宮虎多朗投手が記録した22。NPB2軍記録は、2017年に阪神のメンデス投手、19年に漆原大晟投手(当時オリックス、現阪神)が残した23。シーズンが残り1カ月あることを考えれば、ともに更新まで射程圏だ。そして上村は、ここで残す数字こそが自身の未来を開くと知っている。

「2軍の数字かもしれませんけど、他のアマチュア選手には絶対に出せません。ここにいるから出せる数字です。セーブは1人でできる記録ではありませんし、そこで数字を残せているのはすごくありがたいこと。NPBを目指す上で、2軍ではこれくらいできる、140試合近いシーズンを通して戦えると示せるのはプラスになると思います」