米大学で大活躍、異色の“逆輸入”で目指すNPB 英語のできなかった大山盛一郎が道を開いた生存術

AI要約

23歳の大山盛一郎内野手が、米国の大学野球から帰国し、NPBドラフト指名を目指してプレーしている。

沖縄出身の大山は、米国でのキャリアを活かして早く試合勘を取り戻し、日本のプロ野球での成功を目指している。

大山はアメリカで培ったプレースタイルを日本でも貫き、楽しさと闘志を示す姿勢を大切にしている。

米大学で大活躍、異色の“逆輸入”で目指すNPB 英語のできなかった大山盛一郎が道を開いた生存術

 日本人ながら、米大リーグのドラフト候補と目された23歳が帰国し、プロ野球の“2軍球団”でNPBドラフト指名を目指し走り出している。沖縄出身の大山盛一郎内野手は、今季からウエスタン・リーグに参加しているくふうハヤテに途中入団し、8月9日のオリックス戦で6年ぶりに日本のグラウンドに立った。米国の大学野球で実績を積み重ね、ドラフト候補と呼ばれるまでになった異色のキャリアと、今後目指すところについて聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

 大山のくふうハヤテでのデビューは、ある意味衝撃的だった。「2番・二塁」で先発し4打席連続三振。ただこれは、2軍とはいえプロのリーグに適応しようという積極的な姿勢の表れでもあった。「日本でプレーするのは6年ぶりですからね。振らないと合わせるものが何もありませんから」。8月の頭に帰国し、1週間で実戦へ。いかに早く試合勘を取り戻せるかで、人生が変わる。

 大山は沖縄の強豪・興南高で3年夏に甲子園出場。チームメートには1学年下の宮城大弥投手(オリックス)がいた。ただ沖縄県大会の終盤に右肘を痛め、甲子園ではプレー機会がなかった。卒業後は米国に渡り、カリフォルニア州のマーセド・コミュニティカレッジに入学。好成績を残し続けて4年目にはNCAA1部の名門、カリフォルニア大学アーバイン校へ。今春も59試合で打率.296、9本塁打の成績を残した。

 今年6月、大リーグのドラフトで指名を待った。代理人には可能性は十分にあると伝えられていたが、名前を呼ばれることはなかった。ここで方向転換し、NPBドラフトを目指してくふうハヤテ入り。「MLBのドラフトを、一つの区切りとして考えていました。日本のプロ野球でやりたいなとは前から思っていたので。今はワクワクしています」。10月のドラフト指名へ、アピール期間となるシーズンはあと1か月だ。

 日本に戻ってきても、アメリカで築き上げたプレースタイルは変わらない。「元気ハツラツ、泥臭くです。アメリカ人も実はめちゃくちゃ泥臭いですよ。負けず嫌いばかりですから。あんなふうに楽しくやりたいなと思われるようにしたい。野球は楽しいものだと思ってもらいたいんです」。自分のアピールポイントをそう話す大山の野球人生は、開拓精神にあふれている。