プロスカウトに聞いた『甲子園』ドラフト候補生への本音のジャッジと相場観「いけると断言できる選手はいなかった」「今朝丸は本調子では…」

AI要約

全国高校野球選手権大会(甲子園)でのドラフト候補生についてプロ球団スカウトの評価をまとめました。

今朝丸裕喜、藤田琉生、坂井遼など注目の投手や宇野真仁朗、石塚裕惺、箱山遥人など注目の打者に焦点を当てました。

各球団スカウトは今後、候補選手を評価し、10月24日のドラフト会議に向けて準備を進めています。

プロスカウトに聞いた『甲子園』ドラフト候補生への本音のジャッジと相場観「いけると断言できる選手はいなかった」「今朝丸は本調子では…」

◇尾関雄一朗コラム「アマチュア野球取材ノート」

 全国高校野球選手権大会(甲子園)でのドラフト候補生のプレーぶりは、ときにその評価を左右する。大会を終え、逸材たちへの本音のジャッジと相場観をプロ球団スカウトに聞いた。

 「5年前の奥川(恭伸/ヤクルト)のように、これはいける(活躍する)と断言できる選手はいなかった」とは、あるパ・リーグ球団スカウトの談だ。「ドラフト上位候補とされる選手でも、プロで鍛えてどこまでになるかという印象」。口調はもうひとつ熱を帯びない。

 それでも、今朝丸裕喜(報徳学園)、藤田琉生(東海大相模)の両投手は人気が高そうだ。

 「今朝丸はこの夏、本調子ではなかった。もう少し出力が出てきてもいいはず。藤田は大柄で手足が長い割に、意外に変化球がうまい。稀有な魅力をもっていておもしろい」と同氏は語る。

 一方、あるセ・リーグ球団スカウトは、今朝丸を「例年の1位候補と比べても遜色ない。落ちる球や緩急など、先発に必要な要素を備えている」と評価。藤田については「大きすぎる左投手は大成しないと言われてきた中、彼はその範疇に収まらない存在。2位指名ぐらいに入ってくる」と踏む。

 投手では、坂井遼(関東第一)が準優勝でブレークした。「ストレートは今大会で最もすごかった。手元で伸びて空振りがとれる球質」(前出のパ球団スカウト)だという。

 打者では宇野真仁朗(早稲田実)、石塚裕惺(花咲徳栄)の両遊撃手や、捕手の箱山遥人(健大高崎)が注目を集めた。

 「宇野のパンチ力は今大会で一番。石塚もいいものをもっている。ただ、プロでショートを守る能力となると、両者とも僕は懐疑的。箱山は打撃にパワーと対応力があり、昨年のドラフトで4位指名された堀(柊那/オリックス)以上では」(同)

 5試合で3安打と苦しんだ左打ちの外野手・正林輝大(神村学園)については「同型のモイセエフ(ニキータ/豊川)との比較になる」(前出のセ球団スカウト)と見る。

 各球団のスカウト陣は今後、U18アジア選手権や普段の練習などを視察し、10月24日のドラフト会議に向け候補選手の評価付けを進めていく。

 ▼尾関雄一朗 1984年生まれ、岐阜県出身の野球ライター。東海地区を中心にアマチュア野球(高校/大学/社会人)を取材し、野球雑誌やウェブサイト、書籍などで記事を発表している。取材歴は15年を超え、プロ球団スカウトとも親交が深い。