共生と平和の祭典開幕 ウクライナ選手に喝采 紛争めぐり亀裂も パリ・パラリンピック

AI要約

パリ・パラリンピックは28日、障害、健常者の分け隔てのない社会の実現を訴え開幕した。共生をうたう大会とはいえ、ウクライナ側が同国への侵略を続けるロシアの選手らの出場を巡り国際パラリンピック委員会(IPC)に苦言を呈するなど紛争に伴う亀裂が露呈している。

開会式に参加した英国代表の車いすテニス選手はそう話した。パラ史上初めて競技会場外で行われた開会式では、観光名所のシャンゼリゼ通りを車いすや白杖で行進する選手らに観衆から温かい声援が送られた。

会場でひときわ歓声が上がったのは、ウクライナ選手団が登場した場面だった。黄と青を基調にしたウエアに身を包んだ選手団が現れると、多くの観客が立ち上がり、拍手を送った。

【パリ=板東和正】パリ・パラリンピックは28日、障害、健常者の分け隔てのない社会の実現を訴え開幕した。共生をうたう大会とはいえ、ウクライナ側が同国への侵略を続けるロシアの選手らの出場を巡り国際パラリンピック委員会(IPC)に苦言を呈するなど紛争に伴う亀裂が露呈している。

「特別な体験。心から名誉に感じている」

開会式に参加した英国代表の車いすテニス選手はそう話した。パラ史上初めて競技会場外で行われた開会式では、観光名所のシャンゼリゼ通りを車いすや白杖で行進する選手らに観衆から温かい声援が送られた。

会場のコンコルド広場では、車いすの障害者や片足のダンサーが健常者とともに音楽に合わせて踊るショーが披露された。見守った市民の男性(53)は「これほど障害者が勇気づけられる瞬間はない」と語った。

会場でひときわ歓声が上がったのは、ウクライナ選手団が登場した場面だった。黄と青を基調にしたウエアに身を包んだ選手団が現れると、多くの観客が立ち上がり、拍手を送った。

ウクライナは厳しい戦時下で競技を続けてきた140人を派遣。ロシアとの戦闘で負傷した同国の軍人も参加する。シッティングバレーボール男子に出場するドミトロ・メリニクさんは事故で足に障害を持ちながらも昨年3月に航空偵察部隊に入隊。ウクライナ東部ドネツク州で砲撃を受け左脚を負傷した。2016年のリオデジャネイロ大会にも出場したメリニクさんは任務の傍ら、パラ出場のために練習に励んできた。

一方、ロシアと同盟国ベラルーシからは個人の中立選手として96人が参加。パリ五輪と同様に開会式の入場行進に加え、国歌・国旗の使用が認められないが、参加人数は五輪(計約30人)の3倍近くとなり、ウクライナ側は強く反発。ウクライナ・パラリンピック委員会のワレリー・スシュケビッチ会長は27日、五輪で15人だった露選手がパラで90人近くに増えたことに関し「(参加を認めた)IPCの対応に不服がある」とした。

パラには、イスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルも20人以上を派遣。パレスチナ支持の立場からイスラエルの参加を歓迎しない意見も目立ち、仏警察は五輪に続きイスラエル選手の警備を強化する。