【長澤和退団で求められる、ベガルタ仙台の「プラスの化学変化」(1)】森山佳郎監督が試合後にあえて飛ばした強い言葉とは……松下佳貴、工藤蒼生、鎌田大夢への期待を触媒に

AI要約

25日のJ2リーグ第28節で、ベガルタ仙台は長澤和輝の移籍発表後に逆転負けを喫し、チームに大きな穴が生まれたことが明らかになった。

長澤がチームを牽引し、リーダーシップを発揮していたため、その離脱はチームにとって大きな打撃となった。森山監督は選手たちに対し、長澤の穴を埋めるための準備をしなければならないと厳しい言葉を投げかけた。

長澤は感謝の気持ちを持ちながらも、チャンスを掴むために海外挑戦を選択。仙台に勝利で感謝を返すため、移籍後も最後まで力を尽くす決意を示した。

【長澤和退団で求められる、ベガルタ仙台の「プラスの化学変化」(1)】森山佳郎監督が試合後にあえて飛ばした強い言葉とは……松下佳貴、工藤蒼生、鎌田大夢への期待を触媒に

 今シーズン2度目の4連勝を狙った25日のジェフユナイテッド千葉とのJ2リーグ第28節で、2-4で逆転負けを喫した直後。敵地・フクダ電子アリーナのロッカールームで、ベガルタ仙台を率いる森山佳郎監督は問いかけた。

「お前たち、どうするんだ?」

 視線の先にはボランチを主戦場とする松下佳貴、工藤蒼生、鎌田大夢がいた。指揮官は3人を鼓舞する狙いを込めながら、さらにこう続けている。

「長澤がいなくなった後に、お前たちはやれるのか?」

 ゲームキャプテンを担う司令塔、長澤和輝が千葉戦を最後に海外移籍へ向けてチームを離脱すると発表されたのが21日。勝って送り出そう、を合言葉に臨んだ一戦は2度のリードを奪いながら、今シーズン最多タイの4失点を喫して敗れた。

「チームのコンダクターというか、ピッチ上の監督のような形で長澤がチームを引っ張ってくれて、いろいろな状況に応じてチームを動かしてくれていた。いなくなったその穴は本当に大きすぎるので、ここからが大変だ、というところですね」

 J1の名古屋グランパスから完全移籍で仙台へ加入して1年あまり。プレー面、メンタル面、そしてリーダーシップの面で、32歳の元日本代表MFが必要不可欠な存在と化してひさしいからこそ、森山監督はあえて厳しい言葉を投げかけた。

「このなかで一人でも『誰かが(長澤の代わりを)やってくれるんじゃないか』と思っているようでは、僕たちはここからずっこけていくぞ」

 報道では、オーストラリアのAリーグへ越境参加している隣国ニュージーランドのウェリントン・フェニックスから長澤へオファーが届いたとされている。

 33歳になるシーズンにつかんだチャンス。専修大を卒業した直後に加入した、独ブンデスリーガのケルンに続く海外挑戦への決意を固めた長澤はチームに思いの丈を伝え、最後はフロントや森山監督に背中を熱く押してもらった。

「オファーをいただいてからは本当に悩みました。チームのみんなにも僕の思いを伝えたなかで、ゴリさん(森山監督)は『和輝の夢だったら』と言っていただき、さらに『決断を成功にかえられるように』といった言葉もいただきました」

 残り10試合となった終盤戦での移籍を認めてくれた、仙台への感謝を勝利で返すために。ボランチで先発した長澤は正確なロングパスで28分のFWエロンの先制点を、鋭い左CKで54分のFW中島元彦の勝ち越しゴールの起点になった。

 しかし、仙台がJ2を戦いはじめた2022シーズン以降で1勝4敗、特にフクダ電子アリーナでは一度も勝てていない千葉の怒涛の圧力の前に65分、76分、長澤がベンチへ退いた後の85分と立て続けにゴールを奪われて力尽きた。