【阪神】ハルト様復活2連勝「ダメだったら鳴尾浜に戻ってくればいい」前回登板後吹っ切れた

AI要約

阪神高橋遥人投手が1025日ぶりの復活星を挙げ、広島との3連戦初戦を制す。

高橋は広島相手で2連勝し、今後も「鯉キラー」として期待される。

チームは2位巨人に2ゲーム差で追いつき、V戦線で踏ん張った形。

【阪神】ハルト様復活2連勝「ダメだったら鳴尾浜に戻ってくればいい」前回登板後吹っ切れた

<広島1-3阪神>◇23日◇マツダスタジアム

 ハルト様様や! 阪神高橋遥人投手(28)が1025日ぶり復活星から自身2連勝を飾り、首位広島との3連戦初戦を奪取した。7回途中を7奪三振4安打で1失点。今季2戦2勝はどちらもカープ打線から挙げており、今後も「鯉キラー」として重宝されそうだ。チームは広島とのゲーム差を4、2位巨人にも2に縮め、V戦線の土俵際で踏ん張った形。狙いを定めるカード3連勝へ、上々のスタートを切った。

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 高橋はベンチでうつむいた。7回無死満塁のピンチで降板。2番手石井が最少失点で切り抜けると、今度は声を上げて安堵(あんど)した。9回2死二、三塁を岩崎が無失点で締め、最後は手をたたいて喜んだ。

 「本当にかっこいいなと思って。リリーフの皆さん様様です」

 流れをつくった。2回から5回まで無安打投球。1025日ぶりの勝利を挙げた広島戦から中11日。前回より「良かった」という直球で4回には4番末包から空振り三振を奪った。完璧主義な男が「今日はだいぶ良い方」と自画自賛の91球。1軍復帰後最長の6回0/3を4安打1失点に抑え、7奪三振で2連勝。いずれも広島相手で、過去2戦2敗だった敵地で初勝利だ。

 前回登板後、周囲には「5回投げただけでも結構キツかった」と本音を漏らした。左腕は張った。極度の緊張と闘った疲労感もあった。それでも数日後には吹っ切れた姿があった。

 「ダメだったら、もう1回鳴尾浜に戻ってくればいいだけですもんね」

 復帰までの道のりを支えてくれたトレーナー陣に言った。

 開き直った言葉は決意でもある。これまで負傷で「ダメ」になれば、投げることすらできなかった。手術を受けるたび、リハビリ期間は「朝がキツかった」。仲間のキャッチボールが始まる時間帯だ。グラウンドの隅を走る間、それを直視できなかった。「みんなは毎日野球なのに、自分は毎日野球じゃない…」。プロ野球選手としての自分に自信は持てなかった。

 復活した今は違う。抑えるか、打たれるか。その土俵に立つ。「ダメ」でも仲間が助けてくれる。石井の好リリーフには「大智さんすごい」と興奮した。勝負を楽しむ純粋な28歳が帰ってきた。

 負けられない3連戦の初戦を取り、広島と4ゲーム差。2位巨人と2ゲーム差に縮まった。岡田監督は「コントロール良かったよなあ」と無四死球を称賛。「無理したらあかん」と24日に出場選手登録を抹消し、次回へ備えさせる方針だ。前回登板直後は大好きなコーラを飲み干し喜びに浸った虎の救世主。セ界を丸のみにし、逆転Vへの使者となる。【中野椋】