「絶対に結果を残す」NZ修行中の大久保友雅が語る 「日本のトレセンとの違い」と「追い切りへの考え方」

AI要約

大久保友雅騎手がニュージーランドでの生活や騎乗について語る。

語学学校で英語を勉強し、ハードルを超える努力をしている。

角田大河さんへの思いと、日本のファンへのメッセージ。

「絶対に結果を残す」NZ修行中の大久保友雅が語る 「日本のトレセンとの違い」と「追い切りへの考え方」

 先日、今年2月からニュージーランドのケンブリッジ競馬場で奮闘中の大久保友雅騎手(21)と話す機会を得ました。

 彼の話からは、海外での初騎乗に向けて苦労を重ねながらも、たくさんの関係者に支えられ充実した日々を過ごしていることが伝わってきます。

 最後に小学校の同級生で一緒に騎手を目指し、ともに切磋琢磨してきた角田大河さんへのお別れのメッセージもいただきました。

 ――ニュージーランドでの生活にも慣れて、毎日たくさんの馬に乗っていると聞きましたが

 大久保友雅 朝の4時半に厩舎に行って10頭ほど攻め馬に乗って、調教後に牧場でさらに8頭くらい乗っています。牧場では馴致の馬などがメインなので、日本のトレセンではできないことを経験していますね。つい最近まで午後は英語の勉強のために語学学校へ通っていましたが、無事卒業して今は馬乗りに専念しています。

 ――レースでの騎乗のために英語の勉強も頑張っているのですね

 大久保 現地の競馬会から、IELTSという英語の試験で平均5・5ポイント取得できないと競馬に乗れないと言われました。これはなかなかのレベルの語彙力を必要とします。ニュージーランドには南アフリカ、インド、モーリシャス、香港などいろいろな国のジョッキーが来ているので、地元騎手の騎乗機会を守るためにできた制度でしょうね。このハードルを乗り越えなくてはなりません。

 ――最近村山明調教師とお話しする機会がありましたが、友雅君のことを気遣われていました

 大久保 今回のニュージーランド研修のきっかけをくださったのが村山先生なんです。先生の知り合いの箕輪さんという方がトニー・パイク厩舎で20年近く働いていて、その厩舎にお世話になっています。以前先生の管理馬に乗せていただいた際、体を絞りきれず0・5キロオーバーで騎乗して厳しいお叱りの言葉をいただいたのですが、その後も私を突き放すことなく騎乗依頼をくださったり、目をかけていただいています。頭が上がりません。

 ――初めのうちは調教でも苦労したとか

 大久保 こちらの調教は手綱を短く持ってハミをかけて乗るので、ひっかかっている馬を抑えるのが大変でした。普段はおとなしくてもいきなり物見をする馬もいましたし。今はしっかりと馬を抑える上半身の筋力がつきましたし、鎧(あぶみ)を伸ばして落ちないように対応したりしています。しっかり基礎から乗り込まれている日本の馬との違いを感じましたが、こちらのスタイルに慣れてくれば問題ないので今は調教に乗るのが楽しいですね。

 ――追い切りひとつにしても日本と考え方が違うようですが

 大久保 日本の追い切りはしっかり時計を出すイメージですが、こちらは15―15が多く、持ったまましまいをスッと伸ばす程度です。たとえ時計が遅くても、手応えよくハミをかんで調教を終えれば調教師さんはハッピーですね。

 ――6月1日で21歳になりました

 大久保 ニュージーランドではなぜか21歳の誕生日を盛大に祝うそうです。パーティーを開いてみんなに祝ってもらいました。こちらの人たちはみんな親切で、その日だけは少しはっちゃけてみんなと遅くまで時間を過ごしました(笑)。

 ――お父さんが調教助手として働かれていますが、ジョッキーを目指したのはその影響ですか

 大久保 昔から競馬が身近な存在で、小さい頃競馬場に連れて行ってもらった時にパドックで秋山真一郎騎手(現調教師)を近くで見て、心がときめきました(笑)。家の近所に角田大河や今村聖奈がいて、幼い時からお互いに刺激し合えたのも大きかったです。3人で学校が終わってから栗東トレセンの乗馬苑に通いましたし、競馬学校でもずっと一緒に時間を過ごしました。

 ――ニュージーランドではいろいろなジョッキーからもかわいがってもらっているとか

 大久保 現地でGⅠ勝利のある浅野一哉騎手からは木馬を見てもらい騎乗のアドバイスもいただきました。ほかにもスウェーデンで10度リーディングに輝いているグラバーグ騎手が短期騎乗で私の厩舎に来て、すぐに結果を出していましたね。近いうちにライアン・エリオット騎手の家にホームステイさせてもらうことも決まりました。彼の家にはプールやジムの施設があるのでトレーニングに参加させてもらう予定です。これからもいろいろなことを学んでいきたいですね。

 ――最後に日本のファンの皆さんにひと言お願いします

 大久保 ニュージーランドで修行を始めてから半年たちましたが、レースに乗るまで時間がかかり悔しい思いをしています。ただこの間に語学も習得できましたし、今自分にできることをしっかりこなしています。特に焦りの気持ちはありません。絶対に結果を残すので長い目で応援していただければと思います。

 角田大河のことは、いまだに受け入れ難く、信じられない気持ちです。幼い頃から同じ夢を追ってきた大切な親友ですし、もっと一緒に頑張っていきたかったです。

 彼の分も頑張ります。

 今は彼が安らかにいることを願います。