「カブレラって、西武のカブレラ?」甲子園ベスト4にいる“筋肉隆々スラッガー”…関東一の高橋徹平とは何者か「暇さえあればウエイト」

AI要約

高橋徹平は筋トレ好きであり、ウエイトトレーニングを日常的に行っている。特にデッドリフトとスクワットでは驚異的な重量を扱い、その強靭な体を持ち味としている。

高橋は右のスラッガーとして活躍し、必殺仕事人のテーマソングが鳴り響く中で勝負強さを発揮している。新基準バット導入後はホームランが減少したが、依然として打ちたがりの性格を持ち続けている。

甲子園での61号本塁打で高橋はチームを鼓舞し、独自のガッツポーズや筋肉ポーズを披露。ヒーローとしての喜びを全身で表現している。

「カブレラって、西武のカブレラ?」甲子園ベスト4にいる“筋肉隆々スラッガー”…関東一の高橋徹平とは何者か「暇さえあればウエイト」

 顔の幅とほぼ同じくらいに見える首。そして、太ももは競輪選手のように太い。

 関東一高の右のスラッガー、高橋徹平は「暇さえあればウエイトをしている」というほどの筋トレ好きだ。

「デッドリフトはMAX230キロで、スクワットは180キロを6回で組んでます」

 デッドリフトとは床に置いたバーベルをかがんだ状態から腰の位置まで引き上げる運動で、230キロは大谷翔平レベルの重量である。

 7回表、先頭打者の高橋が打席に立つと、応援席からトランペットのソロによる『必殺仕事人』のテーマソングが高らかに鳴る。応援団がここで1本欲しいというとき期待を込めて奏でる曲だ。

 関東一打線はそこまで東海大相模の198センチ左腕、藤田琉生にシングルヒットわずか3安打に抑え込まれていた。高橋の耳にも高揚感をあおるような独特の音色は届いていた。東東京大会の5回戦でも『必殺仕事人』の曲のあと、一発が出た。

「流れてるな、なんかあるかな、と思いましたね」

 高橋のここまでの通算本塁打はちょうど60本。そのうち低反発の新基準バットになって打ったのは「20本ぐらい」だという。

「新基準になって逆方向のホームランが出なくなった印象。これまでフェンスを越えていた打球がフェン直(撃)だったり、フライになってしまった」

 バットが変わったことで損をしたホームランの数を問うと「盛って20本ぐらいですかね」と丈夫そうな白い歯を見せる。

 新基準バットとなり、なるべく長打はねらわないようにしているが、高橋は監督の米沢貴光が「(ホームランが)大好きなんで」というほどの打ちたがり。高橋はこう反省を口にする。

「体が勝手に大きいのをねらっているというか、気持ちで制御しきれていない部分があるので、そこは自分の課題です」

 この日も1、2打席目は欲が出て、前の肩が上がってしまい、いずれもサードゴロ。この打席はバットを少し短く持ち、左肩が上がらないよう意識した。

 初球、真ん中低めのチェンジアップに体が自然に反応した。

「とりあえず柵は越えたかなと思いました。ちょっと深いところだったんですけど」

 打球は新基準バットの控えめな金属音を残し、甲子園のもっとも深い左中間スタンドの最前列に落ちた。

 通算61号を放った高橋は一塁を回ったところで一度、三塁ベースを回ったところでもう一度、ガッツポーズをつくった。さらにはベンチに戻るなり、今度は両腕を突き上げた。他の選手もそれに呼応するように大声を張り上げながら高橋のポーズを真似る。少し間を置いて、高橋は「しゃーっ!」と両拳を腰の位置まで引いた。他の選手もそれに続く。ヒーローになった者のみがやることを許される歓喜の「筋肉ポーズ」だ。