夏の”中涼競馬”で涼んでみる? 酷暑の中の競馬開催は、人も馬も芝もあの手この手で暑熱対策【競馬の話をしよう。】

AI要約

中京競馬での暑熱対策について、検量室前の空気循環や馬体冷却などが取り入れられており、騎手や関係者から好評を得ている。

さらに、パドックや地下馬道のミストや水冷馬房など細かな対策も行われ、真夏の中京開催での人馬の安全を確保している。

新潟競馬でも競走時間帯の拡大など暑熱対策が施され、ファンが快適に競馬を楽しめるよう工夫がなされている。

夏の”中涼競馬”で涼んでみる? 酷暑の中の競馬開催は、人も馬も芝もあの手この手で暑熱対策【競馬の話をしよう。】

 競馬の世界を掘り下げる企画「競馬の話をしよう。」。例年以上の酷暑の中で行われる夏競馬を取り上げた。58年ぶりの8月開催が始まった中京競馬は暑熱対策を施してレースを行い、“中涼競馬場”と称してファンが来場しやすいように工夫をこらしている。第2回新潟競馬では競走時間帯を拡大。初の試みも含めた2場の暑熱対策の様子を取材した。(中京=関俊彦、新潟=米内宏一郎)

 1966年以来、58年ぶりの8月開催となった中京競馬が先週から幕を開けた。鈴鹿山脈などから流れ込む湿気を含んだ温かい風が濃尾平野に流れ込むことで、特に気温が上昇する愛知の夏。そんな猛暑の中での競馬開催で人馬、そして観客の安全を守るための方策とは。暑熱対策を随所にちりばめた中京をもじった“中涼(ちゅうりょう)”開催をのぞいてみた。

 JRAが半世紀ぶりの8月の中京開催で取り組んだ暑熱対策の一つが、検量室前の涼しい空気の循環だ。半地下の構造となっている中京の検量室前は、レースを終えた人馬の熱気が充満。梅雨の時季には不快なにおいも漂い、検量室前のこもった空気への対策を要望する関係者は少なくなかった。

 そこで今年は2台の気化式冷風機で涼しい空気を発生させ、天井付近に取り付けた3基の送風ファンで空気を循環。各所に設置した馬体冷却用のホースとの相乗効果で、レース後の馬体の早期冷却を図っている。

 開幕週の土、日曜とも中京で騎乗した騎手の一人は「これまでの夏の中京(6、7月開催)は、空気がじめじめして、検量室前は雑巾のようなにおいがすることもあって、人馬とも不快な気分になることが多かった。今年も暑いことに変わりはないけど、カラっとしていたし、何より空気が流れていたと思う」と対策の効果を実感している。

 その他、通常の暑熱対策としてパドックや地下馬道のミスト、装鞍(そうあん)所や診療所内に水冷馬房を設置。細かな対策で真夏の中京開催の人馬の安全確保を狙っている。