東海大相模 原俊介監督 プロ野球選手から高校野球の指導者を志したワケ【神奈川から頂点狙う監督】

AI要約

原俊介監督は、現役を終えてから学び直し、将来の方向性を見出す過程を経て、指導者としての道を歩んでいる。

彼が高校野球の指導者となるまでの過程や、キャッチボールの重要性についての研究、資格取得の努力などを通して、野球に対する熱意と深い興味がうかがえる。

その経験と知識を活かし、東海大相模を率いる原監督は、野球の基本を大切にし、選手たちと共に成長している姿が描かれている。

東海大相模 原俊介監督 プロ野球選手から高校野球の指導者を志したワケ【神奈川から頂点狙う監督】

2024年夏、高校野球激戦区である神奈川を制したのは東海大相模!

チームを率いるのは、2021年9月に就任した原俊介監督。5月13日に発売された『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)より、東海大相模 原俊介監督の頁から一部抜粋で公開する。原監督の目指す野球とは──。

●自分自身が楽しめ、のめりこめる仕事は何か?

 現役を終えてから、2008年に早稲田大人間科学部健康福祉科学科に入学。「身体」に興味があることが最大の理由だった。IMGアカデミーで実体験したことを、いつかはトレーナーとしてアスリートに伝える立場にもなりたい。

 同じ年に、巨人の先輩・後藤孝志氏が立ち上げた「東京GUTS」の野球スクール事業に携わりながら、大学のオンライン授業を受け、科目によっては所沢のキャンパスまで通った。野球中心の生活を送ってきたため、本格的に腰を据えて勉強するのはこれが初めてのこと。決して、勉強が得意だったわけではないが、学ぶ楽しさを知った。

「研究室の先生の言葉がものすごく心に刺さりました。『わからないことが大事。わからないと思うことから、自分を成長させるチャンスが生まれる』。言われてみれば当たり前で、もしかしたら、同じようなことをぼくに言ってくれていた人もいたかもしれません。でも、目の前の野球に精一杯で、耳には入っていなかったのだと思います」

 学ぶうちに、将来の方向性も見えてきた。トレーナーの選択肢もあったが、「これまでの経験を生かしながら、自分自身が楽しめ、のめりこめることができる仕事は何か?」と心に問いかけたとき、浮かんだのは高校野球の指導者だった。大学にもう1年残り、情報科の教員免許を取得した(その後、通信課程で体育科の免許も取得)。

 卒論のテーマは『キャッチボールの実態調査』。昔から、「キャッチボールは野球の基本」という格言があるが、なぜそう考えられているのか。現役選手へのアンケート調査をもとに、その答えを探った。

「注目したのはメンタル面です。キャッチボールが上手な選手は、野球が好きな傾向にあって、好きだからこそよく練習をして、うまくなっていく。一方で、キャッチボールが苦手な選手は、野球もあまり好きではない。この気持ちの部分は、あまり注目されていませんが、たしかに納得できるところでした」

 どのカテゴリーでも、ウォーミングアップの次に行われるのがキャッチボールであることが多い。野球において外せない練習であり、ここで悪送球を投げる不安があると、練習に対する気持ちも後ろ向きになりやすい。その後のボール回しやシートノックでスローイングミスをすれば、余計に目立ってしまう。ボールを投げる力がいかに大事なのか。わかっていたことではあるが、アンケート調査から再確認することができた。

 大学卒業後、2013年にCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)、2014年にはNSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)の資格を取得。トレーニングに深い興味があったことも、このあたりからも感じ取れる。

▼原俊介(はら・しゅんすけ)

1977年8月30日生まれ。神奈川県秦野市出身。東海大相模―巨人。高校時代はキャッチャーで活躍。3年春にセンバツに出場するも、夏は5回戦で横浜に敗れる。1996年、ドラフト1位で巨人に入団後、2003年にプロ初打席初ヒットをマーク。2006年に現役引退後、早稲田大で教員免許を取得し、2016年から東海大静岡翔洋の監督に就任。2021年9月から母校・東海大相模の指揮を執る。