女子やり投げ金・北口榛花(26歳)「実はチェコじゃなかった」原点の国外遠征…高校時代から強かった“海外志向”きっかけは「北欧の投擲王国」

AI要約

パリ五輪で日本勢が歴史的な成績を収め、陸上女子やり投の北口榛花が金メダルを獲得した。

北口は引き続きヨーロッパで活動し、帰国は先送りになった。

北口はチェコでのトレーニングを経て、やり投の盛んな国々を経験し成長した。

女子やり投げ金・北口榛花(26歳)「実はチェコじゃなかった」原点の国外遠征…高校時代から強かった“海外志向”きっかけは「北欧の投擲王国」

 今夏のパリ五輪で、日本勢は金メダル20個、総数45個のメダルを獲得。いずれも海外で開催された五輪では過去最多だった。そのうちの1つが陸上・女子やり投の北口榛花(JAL)の金メダルだ。

 陸上競技では、マラソン以外の種目で初めて日本人女子選手が獲得した金メダルだった。

 パリ五輪は8月11日に閉幕。その熱狂も冷めやらぬうちに日本選手団は帰国し、14日には解団式が行われた。しかしながら、そこに快挙を成し遂げた北口の姿はなかった。

「日本に帰るのはまだ先になります。もう3試合ほどヨーロッパで出る予定です。引き続きご声援よろしくお願いします」

 北口が13日に投稿したXには、応援してくれた人たちへの感謝の言葉や金メダルを獲得した感慨が綴られていたが、“P.s.”としてこんなことが記されていた。

 8月、9月のダイヤモンドリーグなどヨーロッパの試合に出場する予定で、パリでの戦いを終えた北口は、日本には帰国せず、活動拠点としているチェコ・ドマジュリツェに戻った。ドイツとの国境に近い小さな町に凱旋した北口は、地元市民から熱烈な歓迎を受けたという。

 様々な報道で周知の方も多いと思うが、北口は日本大学在学時の2019年からチェコでトレーニングをしている。

 チェコ人コーチのデービッド・セケラック氏の指導を受けると、その年に当時の日本記録となる66m00をマークしている。

 現在のやり投の世界記録は男子のヤン・ゼレズニー、女子のバルボラ・シュポタコバと、男女ともにチェコ人が持っている。ゼレズニーが1996年にマークした記録(98m48)は、28年たった今も破られずにいる。

 そんなやり投大国で北口は飛躍を遂げたというわけだ。

 しかしながら、北口の初めての海外遠征は、チェコではなく他の国だった。

 実は北口はチェコに至る前にフィンランドやドイツでも短期の合宿を敢行したことがあった。

 フィンランドには男子やり投で2007年の大阪世界選手権を制したテロ・ピトカマキ、1999年のセビリア世界選手権でゼレズニーを破って金メダルに輝いたアキ・パルヴィアイネンといった選手がいた。

 また、ドイツは東西分裂時代の東ドイツに、旧規格で100m超を投げたウベ・ホーン、女子では80mを投げたペトラ・マイヤー・フェルケといった選手が、やり投の歴史を変えた。近年は男子のヨハネス・フェッターとトーマス・レーラーが高いレベルで競っており、フェッターは世界記録にも肉薄した。

 フィンランドとドイツもチェコに負けず劣らず、やり投の強豪国なのだ。