【甲子園】石橋創立100周年で初勝利「歴史作れて光栄」文武両道の入江祥太が完封

AI要約

夏初出場の石橋(栃木)が初めての校歌を響かせ、先発の入江祥太投手が11奪三振で4安打完封し、学校創立100周年で新たな歴史を刻んだ。

霞ケ浦や青森山田なども勝利し、慶応のOBとの友情や家族の支えについても触れられている。

栃木県立高の応援団や石橋校長の感慨、入江選手の強い気持ちと努力、さらなる目標に向けた意気込みが伝わる。

【甲子園】石橋創立100周年で初勝利「歴史作れて光栄」文武両道の入江祥太が完封

<全国高校野球選手権:石橋5-0聖和学園>◇13日◇2回戦

 甲子園に、初めての校歌が響き渡った。夏初出場の石橋(栃木)は先発の入江祥太投手(3年)が毎回の11奪三振で4安打完封し、学校創立100周年で新たな歴史を刻んだ。

 栃木の県立高の甲子園勝利は02年の小山西以来、22年ぶり。霞ケ浦(茨城)は強打の智弁和歌山(和歌山)に2者連続本塁打を浴びながらも、延長11回タイブレークを制し、こちらも初勝利を果たした。青森山田は長野日大を11安打9得点で破り、滋賀学園は花巻東(岩手)に勝利した。

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 オレンジ色に染まった一塁側のアルプス席にあいさつした先発の入江は「自分たちの代で歴史を作れたことを光栄に思います」と、笑顔がひときわ輝いた。

 負けるわけにはいかない。夏の栃木大会から通じて初先発に「最後まで投げきる」と、強い気持ちでマウンドに上がった。「ストライク先行を心がけた」。初回から130キロ台後半の直球とカーブ、スライダーでカウントを整え、縦に曲がるスライダーで奪った三振は11。6回には右足ふくらはぎがつりながらも4安打で投げ切った。

 文武両道のプライドが入江を奮い立たせた。小3で野球を始めたが、父利昌さん(48)の教育方針で野球と勉強を両立させた。小4から塾に通い、朝練習では野球、学校から帰ってきてからは勉強。県内有数の進学校で甲子園を目指した。甲子園にも参考書を持ち込み、チームでそれぞれ毎日30分は勉強。「頭は常に磨いて、勉強で培ってきた」と、ピンチにも冷静でいられる術を磨いた。

 昨夏甲子園で全国制覇した慶応・加藤右悟捕手(3年)と小宅雅己投手(3年)とは「県央宇都宮ボーイズ」のチームメートで、ともに中3で全国制覇も果たした親友。昨夏、テレビ観戦しながら「一緒にやってきた仲間として負けられない」。心の中でふつふつと闘争心が湧きあがった。今年6月、右肘痛から復帰すると一からフォームを見直した。初戦突破も「あいつらに並べるように頑張りたい」。全国制覇で肩を並べ、来年、慶大進学で再び一緒にプレーするのが目標だ。

 21世紀枠で初出場した昨春センバツは、初戦に先発したが7回3失点で勝利に導けなかった。小さいころは1人ではトイレに行けない程の甘えん坊で、母・優子さん(49)のおなかを触っていないと眠れなかった少年が、21000人の大観衆の前で堂々と完封勝利。「いや、もうめちゃくちゃ楽しかったです」。その姿は、誰よりも強くたくましく見えた。【保坂淑子】

 ○…一塁側のアルプス席には全校応援にOB、保護者、関係者2800人の大応援団が詰めかけ、選手たちに大きな声援をおくった。観戦した新井聡校長(56)は「100周年の時に甲子園が決まって、神がかっているというか、しかも甲子園ができて100周年。信じられない気持ち。野球部の選手たちはみんな明るくピンチでも笑顔が絶えない。本当によくやってくれました」と感激していた。

 ◆石橋 1924年(大13)創立の公立校。生徒数は716人(女子339人)。野球部は35年創部。部員56人。県内有数の進学校として23年センバツに21世紀枠で初出場した。卒業生に小説家でタレントの室井佑月、NHKの大沢幸広アナウンサーら。所在地は栃木県下野市石橋845。新井聡校長。