選手の活躍が「価値」を創出したパリ五輪 フェンシングなど躍進、競泳は立て直し急務も 

AI要約

パリ五輪はパリ郊外サンドニのフランス競技場で11日に閉会式を行い、17日間の熱戦に幕を下ろした。日本選手団が獲得した金メダルは、日本オリンピック委員会(JOC)が設定した目標と同じ20個。総数45個とともに海外開催では過去最多となった。

フェンシングは金2、銀1、銅2の計5個。東京五輪後に強化費の見直しが迫られる団体も多い中、外国人コーチを招聘し、海外の技術や精神力も吸収。日本にとっては新たな「お家芸」として次回以降への期待値も高まるばかりで、見延和靖(ネクサス)は「持っている技術をしっかり後世に伝えて、歴史として日本を強くしていきたい」と言葉に力を込める。

最後に盛り上げたレスリングは、金8個と驚異的な数字を残した。一方、メダル1個に終わった競泳はお家芸の看板が大きく揺らぐ。団体球技は勝負強さに課題を残したが、何よりも選手の活躍が「五輪の価値」を再認識する機会を創出してくれた。

選手の活躍が「価値」を創出したパリ五輪 フェンシングなど躍進、競泳は立て直し急務も 

パリ五輪はパリ郊外サンドニのフランス競技場で11日に閉会式を行い、17日間の熱戦に幕を下ろした。日本選手団が獲得した金メダルは、日本オリンピック委員会(JOC)が設定した目標と同じ20個。総数45個とともに海外開催では過去最多となった。前回東京五輪は組織的なドーピング問題でROCとして参加し、金20個を含む71個のメダルを獲得したロシア勢の出場がウクライナ侵略の影響でごく少数だったことを差し引いても、尾縣貢団長は「総じて実力は発揮した」と評価した。

■新たな「お家芸」と期待

フェンシングは金2、銀1、銅2の計5個。東京五輪後に強化費の見直しが迫られる団体も多い中、外国人コーチを招聘し、海外の技術や精神力も吸収。青木雄介強化本部長は「そこに投資しないと、選手が勝てない」と、選択と集中を進めた結果だった。

日本にとっては新たな「お家芸」として次回以降への期待値も高まるばかりで、見延和靖(ネクサス)は「持っている技術をしっかり後世に伝えて、歴史として日本を強くしていきたい」と言葉に力を込める。

最後に盛り上げたレスリングは、金8個と驚異的な数字を残した。男子グレコローマンスタイルで40年ぶりに金メダルを獲得した60キロ級の文田健一郎(ミキハウス)は「40年ぶりに動き出した日本のグレコローマンがこのまま2歩、3歩と闊歩していけるメダルになったらいい。子供たちがあこがれるきっかけになってほしい」と未来を見据える。

■団体競技も勝負強さ課題

一方、メダル1個に終わった競泳はお家芸の看板が大きく揺らぐ。「国際経験、本番での戦い方がちゃんと浸透できなかった」と梅原孝之競泳委員長。リーダーの人材不足も叫ばれ、立て直しは急務だ。

団体球技は勝負強さに課題を残した。男子バレーは準々決勝でマッチポイントまで行きながら敗れ、石川祐希(ペルージャ)は「試合を決める1点を取り切れなかった。僕の力不足」とエースの責任を口にした。卓球男子も準決勝で逆転負けし、メダルに手が届かず。バスケットボール男子も残り10秒で4点差を追いつかれ、フランスからの金星を逃した。

だが、何よりも選手の活躍が「五輪の価値」を再認識する機会を創出してくれた。体操男子団体決勝では、橋本大輝(セントラルスポーツ)が演技を終えて会場が大歓声に包まれると、中国の最終演技者のために静まるように求めた。ライバル同士がすべてを出し切り、たたえあう姿は多くの人の心に届いたはずだ。(小川寛太、久保まりな)