中日の弱さが詰まった1敗…被先制試合は12勝42敗1分け 数字が教える「先発投手はガス欠覚悟で飛ばすべし」

AI要約

中日は打線の冷え込みと被先制の弱さが目立つ試合で巨人に0-2で敗れた。勝利への第一歩は先制点を取ることであり、先制率はリーグトップ。しかし、被先制試合の勝率は低く、中盤での攻略が必要とされている。

中日の強みは6回終了時にリードするときの勝率であり、リーグ最高。この時点でリードすれば、投手陣が試合を終わらせる強さを持つが、最近はマルティネスのセーブ機会が減っている。

竜の野球は先制点の重要性が高く、試合は6回で決まってしまう。他球団にはない勝ち方として浮上しており、残り試合での実力が最終順位に反映されることが期待される。

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇10日 中日0-2巨人(バンテリン)

 打ち疲れなんて言葉は使いたくない。まぐれだったとも思っていない。だけど3度目も打線は冷え込んでいた。9日の9得点は、11点(4月29日、DeNA戦)、10点(7月13日、阪神戦)に次ぐ、今季3番目の大量得点だった。他球団では知らないが、中日では年に数度のお祭りである。騒ぎ、酔い、謳歌(おうか)する。しかし翌日には勢いに乗るどころか、それぞれ1点、2点(延長10回)、そしてこの日の0点と、まさしく「祭りの後」なのだ。

 中日の弱さが詰まっていた。1回2死からの先制被弾。ベンチも選手もあきらめていないのはわかっているが、毎日取材し、時に数字を調べる僕たちは経験則でたかが1点ではない重みを知っている。被先制試合はこれで12勝42敗1分け。勝率の低さ(2割2分2厘)もリーグワーストだが、55試合も同最多である。

 ただし被先制の弱さは、実は裏から強みを映している。先制すると31勝12敗4分け。47試合が最少なのは当然としても、勝率(7割2分1厘)ならリーグトップの広島(7割7分4厘)と大差はない。つまり数字はこう教えている。先発投手は中盤でのガス欠覚悟で飛ばすべし。打線はとにかく相手先発の早期攻略に全力を注ぐべし。それが勝利への第一歩なのだ。

 先手を取る「1」の野球。その先には中日の絶対のストロングポイントがある。それが9割3分9厘(31勝2敗2分け)という「6回終了時リード」のリーグ最高の勝率だ。1点でもいい。リードしていれば清水、松山、マルティネスの順で投げ、試合を終わらせる。ところが連敗の合間に大勝をはさむから、マルティネスがセーブシチュエーションで投げた試合が8月はまだない。

 竜の野球は良くも悪くも「1」に始まり、6回で終わる。書くのは簡単だが、やるのは難しいのはわかってはいる。だけどこれだけ明確な勝ち方があるのは、他球団にはない強み。残り39試合。どれだけできるかに、チームの最終順位も懸かっている。