「このままだと一生、中国人選手に勝てない…」早田ひな24歳が明かす金メダルへの覚悟「ぽかーんとした」卓球少女が“打倒中国”を目指すまで

AI要約

早田ひなは、3年前の経験を糧に日本女子卓球界のエースとして成長し、金メダルへの覚悟を語っている。

若手時代の早田ひなはマイペースでぽかーんとした性格だったが、卓球を始めるとまるで別人のようになり、中国に勝つことを信じる強い意志を持つようになった。

24歳の今、早田ひなは本気で中国を打倒する覚悟を持ち、過去の試合での苦しい経験を乗り越えて勝ちにいく決意を固めている。

「このままだと一生、中国人選手に勝てない…」早田ひな24歳が明かす金メダルへの覚悟「ぽかーんとした」卓球少女が“打倒中国”を目指すまで

 サポートメンバーだった3年前の東京大会の経験を糧に、不動のエースとして日本女子卓球界を牽引する存在に成長した早田ひな。2月の世界選手権団体では女王をあと一歩まで追いつめた24歳は自身初の大舞台を前にあらためて金メダルへの覚悟を語った。

 発売中のNumber1101号[打倒中国を見据えて]早田ひな「自信が確信に変わったとき」より内容を一部抜粋してお届けします。

 2016年の秋、初めて取材した16歳の女子高生は、ママチャリのペダルを漕いでいた。いや、正確に言えば、ペダルに足を乗せたと同時にふらついて、ジグザグ。無邪気に「ひゃ~っ」と叫んでいた。

「自転車、小さい頃は普通に乗れていたんですけどね。卓球に夢中になっている間に、乗り方を忘れちゃいました。日本生命の選手寮で生活するときは自転車で移動したいので、今、練習しているんです」

 自称「マイペースで、ぽかーんとした性格」。ところがラケットを握った途端、少女は卓球界期待の星に変身した。左腕を豪快に振り抜けば、とてつもない速さでボールが卓球台を駆けた。練習場には右足で踏み込んだ際に床を鳴らす爆音が響いていた。

 さっきまでの天然っぷりはどこへやら。思わず同行カメラマンと目を見合わせた。インタビュー中も、いざ卓球の話となれば、きりっと前を見据えた。

「今の段階では無理かもしれないですけど、自分なら中国に勝って、五輪でメダルを獲ることができると信じています。きっとチャンスはあると思うんです」

 あれから8年――。日本のエースに成長した早田ひなは、パリ五輪への切符を手に入れた。現地へ向かう数日前、ママチャリでよろけていた頃について話を向けると、照れくさそうに笑った。

「あの当時、『中国に勝てるようになる』と言っていたのは、あくまで想像の世界だった気がします。ガチで勝つと思っているのではなく、勝つ自分に憧れている、そこを目指しているという感覚。左利きであることとか、プレースタイルの可能性を踏まえて、自分に言い聞かせていました」

 24歳になった今は、違う。打倒中国を「目指す」のではなく、本気で勝ちにいく。

 そんな変化をもたらすきっかけとなった試合が、ある。

「心が折れそうになりました。あのとき、このままだと私は一生、中国人選手に勝てないなって思ったんです」