【バドミントン】LINEで告げた「苦しい」ワタガシペア連続銅への転機「互いに弱みをみせる」

AI要約

バドミントン混合ダブルスで世界ランク5位の「ワタガシペア」が2大会連続の銅メダルを獲得。

ワタガシ流コミュニケーションで勝利し、一夜明けの会見で息の合った様子を見せる。

弱みを見せ合いながら、18年間パートナーシップを続けるワタガシペアの軌跡。

【バドミントン】LINEで告げた「苦しい」ワタガシペア連続銅への転機「互いに弱みをみせる」

<パリオリンピック(五輪):バドミントン>◇2日◇混合ダブルス3位決定戦◇ポルトドラシャペル・アリーナ

 【パリ3日=藤塚大輔、阿部健吾】バドミントン混合ダブルスで世界ランク5位の「ワタガシペア」渡辺勇大(27)東野有紗(28)組(BIPROGY)が、2日の3位決定戦で2大会連続の銅メダルを獲得した。2-0(21-13、22-20)で同2位の徐承宰、蔡侑〓(王ヘンに丁)組(韓国)にストレート勝利。日本バドミントン界初の五輪2大会連続の表彰台入りを、ワタガシ流コミュニケーションでつかんだ。3日には一夜明け会見に出席した。

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 弱みを見せる。そうしてワタガシは2度目の表彰台にたどり着いた。今大会も試合中、1学年上の東野が幾度も渡辺に声をかけた。「焦っている」と告げられ、「大丈夫。焦らなくて良いよ」。互いの置かれている状況に思いを巡らせ、1点1点を積み重ねた。

 きっかけは昨年12月だった。ツアー連戦での心身の疲弊から、東野はモチベーションに苦しんだ。3カ月、伝えようか迷い続けた上での決断。言葉で直接ははばかられ、LINEで渡辺に告げた。「苦しい」。

 実は先に競技へ向かう意欲に苦しんでいたのは渡辺だった。「僕が先に先輩に話をしたので、言いづらかったと思う。『全然休んで下さい』と返しました」。その瞬間が転機だった。いまは試合中もうまくいってないことを伝える。「勝つために互いに弱みをみせる。完璧でない中でどう勝ちにつなげるか」がスタイルになった。あうんの呼吸ではない。

 ペアを組んで13年間、1度も解散を考えたことはないが、言葉を大事にする。戦術や目標を話し合う時も「否定から入らない」と心がけた。東野は「まずは相手の話を聞いて『やってみよう』と言ってあげること」を心がけてきた。1日の準決勝敗退から18時間後の2日の3位決定戦へも、伝え合った。「切り替えよう」。胸の内を共有すると、試合では東野が強打を確実にレシーブし、渡辺は横に移動しながらのスマッシュで得点を量産。第1ゲーム(G)を8点差で圧倒し、第2Gはマッチポイントから2連続失点で追いつかれながら振り切った。「1度もケンカをしたことがない」という2人は、丁寧に言葉を交わしながら難局を乗り越えた。

 メダル獲得から一夜明けた記者会見。東野が「(やりたい事の一番は)ここ数日、全然寝られてない。自分のベッドで思い切り寝たい」と言うと、渡辺も「一緒ですね。いったんアラームなしで寝たい」とほほ笑んだ。伝え合ってきた2人の息はぴったりだった。