【柔道】ウルフ・アロン準々決勝敗退…ノーシードから五輪2連覇ならず、銅メダルへ敗者復活戦へ

AI要約

21年東京五輪金メダリストのウルフ・アロンが男子100キロ級柔道で準々決勝で敗退し、銅メダルを目指すことになった。

アロンは過去の苦難を経て再起し、18歳の新井道大を追う逆境から逆転でパリ五輪代表に内定した。

男子100キロ級では2連覇を目指すも、V2には届かず、再び五輪の舞台での成功に挑戦する。

【柔道】ウルフ・アロン準々決勝敗退…ノーシードから五輪2連覇ならず、銅メダルへ敗者復活戦へ

<パリオリンピック(五輪):柔道>◇1日◇男子100キロ級◇準々決勝◇シャンドマルス・アリーナ

 【パリ=木下淳】21年東京五輪金メダルのウルフ・アロン(28=パーク24)が準々決勝で散った。強敵スラマニゼ(ジョージア)に技ありを奪われ、逃げ切られた。敗者復活戦へ回り、銅メダルを目指す。

 2回戦は東京五輪銅メダルのフォンセカ(ポルトガル)と序盤からいきなり当たったが、終盤に美麗な内股で一本勝ち。ノーシードからの五輪2連覇へ、初戦もオーストリア選手を得意の大内刈りで技あり2つを奪っての、合わせ一本勝ちで圧倒。調子は良さそうだった。

 3年前に世界の頂点に立った後、苦しみ抜いた。休養中に体重が、少なくとも125キロまで増量。減量の負荷が増して力が入らない日々を送った。22年10月の講道館杯で実戦復帰して3位止まり。続く同12月のグランドスラム(GS)東京大会とワールドマスターズは初戦敗退と、全く勝てなくなった。

 昨年12月のGS東京も7位。いよいよ五輪2連覇が消えかけ、引退も頭をよぎったが、この階級で日本のパリ代表争い1番手に急浮上していた当時18歳の世界ジュニア王者、新井道大(東海大)に次ぐ2番手として今年2月のGSパリに最終選考が持ち越されることになり、命拾いした。

 大学の後輩を追う逆境に発奮。そのGSパリで、東京五輪後の国際大会で初優勝を果たし、おとこ泣きした。男女14階級で唯一、内定が越年していたパリ切符のラスト1枚を、逆転でつかんだ。

 「ここまでの道のりがすごく長かった。安心した。パリへの道がつながった」

 振り返れば、金メダルの後は、柔道の普及目的で可能な限りメディアに出演した。「芸能人か」と批判され「ちょっとテレビに出過ぎたな」。減量苦には「きつい。死ぬ」と弱音も吐いたが「柔道人生の全てを懸ける」と期した背水のGSパリで、五輪と同じ地で復活を遂げた。

 男子100キロ級では、井上康生も果たせなかった2連覇へ。「東京五輪のように切羽詰まったり、プレッシャーを感じたりはしていない」と話し、夢舞台に舞い戻っていたが、V2には届かなかった。