【パリ五輪】「家に帰ってきた感覚」日本選手宿泊棟にカフェ設置 谷本歩実副団長「一体感大事」

AI要約

日本選手団がパリ五輪選手村で設置した「TEAM JAPAN Cafe」の取り組みや選手たちの日常を紹介。

選手村での情報交換や交流が選手たちにとって大きな支えになっていることが明かされる。

26日にはオンラインの結団式が開催され、海外から参加する様々な競技の代表選手たちが一堂に会する。

 【パリ24日=阿部健吾】パリ五輪の選手村が23日、報道陣に公開された。各国、各競技の選手らが一緒に暮らす村。大食堂から美容室までそろい、自転車移動などが今大会の取り組みとして歓迎される中、各国の宿泊棟もモニュメントなどを用意して彩る。日本選手団は今回、宿泊棟の1階に「TEAM JAPAN Cafe」を設置。尽力した柔道で五輪2連覇、副団長の谷本歩実さん(42)に思いを聞いた。

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 日本の宿泊棟から出てきた堀米雄斗が、片手に持っていたスケボーに乗ると、さっそうと去って行く。今度は自転車にまたがった競泳の池江璃花子がハンドルを握ってどこかへ。この日午前の練習後には「歩くの苦手な私たちみたいなタイプには、自転車はありがたい」と感謝していたが、最大限活用しているようだ。

 さまざまな競技の選手が寝食をともにする選手村。日本に割り当てられた宿泊棟の1階には、五輪では初めて「カフェ」が設置された。22年の杭州アジア大会で初めて試みられ、好評だった選手の共有スペ-ス。「家に帰ってきた感覚」を掲げ、飲料の他、選手が交流できるようなカード、ボードのゲームもそろえる。メンタルヘルスの専門家も常駐する。

 主導してきた谷本さんは「きっかけは古賀先生なんです」と明かす。恩師の古賀稔彦さんが五輪初出場の88年ソウル大会の時、「窓から飛び降りようかと思った」と思うほど重圧に押しつぶされそうになったと聞いていた。「選手村はつらい場所だったんです」。自身の現役時代も、楽しさは皆無。04年アテネ大会では「他競技の選手とは話すな」と厳命され、部屋と食堂の往復の日々を送った。メダル数を争うような「ライバル」の意識が強かった。メダルを逃した選手の悲痛な顔が印象に残っていた。

 いまは違う。「一体感は本当にすごい力になるんです。負けた後のショックから、他競技の力を借りて戻ってきたりする」と力説する。選手村の情報交換なども行われ、より快適に過ごすノウハウなども自然と共有されていく。「カフェ」もその一助となるために利用してほしいと願う。

 開幕日の26日には選手団全員が参加できるオンラインの“結団式”を開く予定だ。東京五輪でも実施し、サッカーの吉田麻也、ソフトボールの上野由岐子らが決意を述べた。内村航平に言葉をもらおうとした時に、誤って八村塁を指名してしまう、本人がびっくりするほほ笑ましい場面もあったという。

 海外では最多の409人の代表選手が参加する祭典。競技の垣根を越えて、ともに挑む。