[MOM4775]浦和ユースFW照内利和(3年)_ジュニアから育った「浦和の9番」を託されるストライカーが圧巻の2発で眩い輝きを放つ!

AI要約

浦和レッズユースのFW照内利和が浦和ユースの勝利に貢献

照内利和が2ゴールを挙げ、チームを勝利に導く

照内利和がプレッシャーに負けず、チームを引っ張る

[MOM4775]浦和ユースFW照内利和(3年)_ジュニアから育った「浦和の9番」を託されるストライカーが圧巻の2発で眩い輝きを放つ!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]

[7.23 クラブユース選手権(U-18)GL第2節 浦和ユース 3-0 長崎U-18 ヤンマーフィールド長居]

 このエンブレムがあしらわれたウェアに袖を通して、もう10年近い月日が経った。自分が果たすべき役割は、明確過ぎるぐらい明確だ。どんなに相手が強くても、どんなに劣勢に陥っていても、とにかくゴールを決めて、チームを勝たせる。それがこのクラブの、この番号を背負っている者の存在意義だから。

「ジュニアユースも9番で、去年も9番だったので、9番の責任と誇りを持って、『絶対に点を獲る』という気持ちを強く持っています。今年は3年生として一番上の学年になったので、もっとチームを勝たせられるフォワードにならないといけないですし、自分はジュニアからずっと長くレッズにいるので、自分のゴールでチームを勝たせたいという想いは強いです」。

 浦和レッズユース(関東6)の9番を託されている、鋭い得点感覚を有したストライカー。FW照内利和(3年=浦和レッズジュニアユース出身)が奪い切った2つのゴールが、窮地を迎えていたチームに力強く勝利を引き寄せた。

 初戦はAC長野パルセイロU-18(北信越1)相手にドロー決着。1位しかグループステージを突破できないことを考えれば、本当の意味で絶対に負けられない戦いを強いられていた浦和ユースだったが、「今日は『絶対に勝たないといけない』という状況で、ミーティングもそうでしたし、チーム全体で良い雰囲気を持って試合に入れたと思います」と照内も振り返ったように、立ち上がりから十分なエネルギーを携えてV・ファーレン長崎U-18(九州5)とのゲームに入る。

 31分にFW山根且稔(2年)が先制ゴールを奪うと、良い流れそのままに9番にも決定的なチャンスが巡ってくる。2分後の33分。最終ラインからFW相賀天晴(3年)が縦パスを突き刺すと、照内の頭の中に“ちょっと先の未来”が思い浮かぶ。

「自分のところにパスが入ってきた時に、相手がどこにいるかは見えていたので、1回溜めてから外して、大輝が外にいて2対1の状況になっていて、そこをいったん使いました」。右サイドにいたFW井上大輝(3年)とイメージがシンクロする。縦への仕掛けから、折り返されたクロスへ走り込み、合わせたボールはゴールネットを確実に揺らす。

「大輝が上手く仕掛けて、自分もしっかりクロスに入れたので、良い攻撃だったと思います」。駆け寄ってくるチームメイトと笑顔で喜び合う。ようやく生まれた今大会初ゴール。まずは1点目。

 感覚は研ぎ澄まされていた。後半6分にはまたも井上のパスからフリーで抜け出し、GKとの1対1はファインセーブに阻まれたものの、あわやというシーンを作り出すと、直後にもMF白井桜介(2年)が蹴り込んだ右CKに、食らい付いたヘディングは枠の左へ外れたが、明らかに得点の香りが漂う。

 14分。MF中村絃太(3年)が左へ展開し、DF田中一信、(2年)がボールを持つと、ハッキリとゴールへの道筋が浮かび上がる。「クロスが入ってくる時の準備は常にしていましたし、良いボールが来たので、うまく合わせられました。アレは気持ち良かったですね。イメージ通りでした」。上がってきたクロスを頭で叩くと、ボールはバウンドしながらゴール左スミへ吸い込まれていく。これで2点目。

「彼がいることで僕らはあそこに合わせればというところはあるので、今は彼の負担が大きいですけど、その存在はチームとしても非常に大きいですね」とチームを率いる平川忠亮監督も評価を口にしたストライカーのドッピエッタで勝負あり。3-0で勝ち切った浦和ユースは、これで堂々とグループ首位に立ち、準々決勝進出を懸けた最終節へと向かうことになった。

 1年時から公式戦の出場機会を得ていた照内だったが、9番を任された昨シーズンは不完全燃焼だったという。「去年はケガが多くて、治ったと思ってもまたケガをしてという感じでしたし、それで点が獲れない時間が続いて、ちょっとネガティブな方に行ってしまったかなと思います」。

 忘れられない試合がある。昨年末のプレミアリーグプレーオフ2回戦の帝京長岡高戦。勝利すればプレミアリーグへの復帰が決まる大事な試合で、スタメン起用された照内は決定的なチャンスをモノにできず、後半途中で交代。チームも1-2で敗戦し、自身の力不足を痛感させられる。

 迎えた今シーズンは開幕から好調をキープし、プリンスリーグ関東1部でも昨季の成績を大きく超える9ゴールをマークしているが、本人は浮かれることなく、さらなる成長へと視線をしっかりと向けている。

「帝京長岡に負けた試合も、自分に決定機があった中で決め切れなかったですし、去年はフォワードとしては得点が凄く少なかったので、今年はケガがないように、身体作りからしっかりやってきました。チームメイトから良いボールが来るので、それをしっかり決め切れているのは良いことだと思いますけど、もっともっと追及していけば、もっと点が獲れると思うので、もっとこだわっていきたいです」。

 真価が問われるグループステージ最終節の相手は、1年前もまったく同じ舞台で対峙し、逆転負けを喫している北海道コンサドーレ札幌U-18。照内もその試合では無得点のまま途中交代を命じられているだけに、最高のリベンジの機会が巡ってきたと言っていいだろう。

「もう絶対に勝たないといけない状況なので、明日1日空くところでしっかり良い準備をして、絶対に勝ちたいと思います」。きっぱりと言い切った決意が力強く響く。トップチームのレジェンド・興梠慎三に憧れる、ゴールに魅入られた“浦和の9番”。照内は自らが叩き出す結果で、チームに勝利と笑顔をもたらし続ける。

(取材・文 土屋雅史)