攻めた常葉大橘「ピンチ時こそ笑って」エースで4番で主将の木下選手

AI要約

常葉大橘が加藤学園を上回る13安打を放ち、エースの木下瑞貴主将が自己最速記録を更新する活躍を見せた。

木下主将はリードを守れず自責点を取られるも、チーム全体が攻撃的な姿勢で試合を戦い抜いた。

試合後、木下選手は涙を流しながらも次の代にエールを送り、野球人生を謳歌する決意を示した。

攻めた常葉大橘「ピンチ時こそ笑って」エースで4番で主将の木下選手

 (第106回全国高校野球選手権静岡大会 常葉大橘6―11加藤学園)

 常葉大橘の打者はしっかり振り切って鋭い打球を外野に飛ばし、Aシードの加藤学園を上回る長短13安打を放った。

 先制の適時二塁打を放ったのは、エースで4番の木下瑞貴主将(3年)。マウンドでは速球と切れのある変化球が武器で、この日、自己最速を1キロ更新する144キロをたたき出した。

 4点をリードして迎えた六回裏、制球が乱れ、5単打に失策も絡んで6点を失い、逆転された。「三振を狙わなければいけなかったのに、打たせてしまった」。自戒しつつ「1点ずつ返すぞ」と仲間に声をかけた。

 昨夏に敗れ、主将を背負ってからは覚悟が変わった。「ピンチの時こそ笑う。一番は野球を楽しむこと。笑って楽しくを貫こうと、ずっと言ってきた」と振り返る。

 仲間もこの日、その通り実践してみせた。九回裏、先頭の磯谷怜皇捕手(2年)も笑顔で打席に入り、安打で出塁した。勝利はならなかったが、「挑戦者なので、攻めて攻めて、攻撃的にやりたかった」と片平恭介監督。

 木下選手は試合後、2年生ら下級生に「次の代、甲子園に行けよ」と声をかけてから少しの間、泣いた。それから、「高校野球は終わったが、野球人生は終わらない」と前を向いた。(斉藤智子)