ホーバスHCから「終わった」と言われ…バスケ日本代表・比江島慎(33歳)がドン底から復活のワケ チームのために「変われる」ベテランの強さ

AI要約

富樫勇樹と比江島慎は日本バスケ界の顔役として進化を遂げている。

比江島慎は感情を表に出さないタイプから、求められる姿勢に変化し、プレースタイルも進化している。

比江島は3Pの成功率を上げ、ベスト3P成功率賞を獲得するなど、順調に成長している。

ホーバスHCから「終わった」と言われ…バスケ日本代表・比江島慎(33歳)がドン底から復活のワケ チームのために「変われる」ベテランの強さ

 パリ五輪開幕を控え、ドイツ、セルビアと強豪国との最後の強化試合を終えたバスケ日本代表。世界の壁の高さを改めて感じる結果ではあったが、それでも苦しい時こそチームには頼れるベテラン選手たちがいる。富樫勇樹と比江島慎――日本バスケ界の顔役として、彼らはこれまでいかに進化し、戦ってきたのだろうか。《全2回の2回目/最初(富樫勇樹編)から読む》

 キャプテンの富樫勇樹に加えてもう1人。

 大きく変わったのが、比江島慎だ。W杯のベネズエラ戦では、1人でチームを救うほどの神がかり的活躍を見せたのは多くのファンの知る通り。今ではCMでも起用され「絶対に諦めない男」として認知されつつある。

 しかし、ホーバスHCの初陣となった2021年11月の中国戦のハーフタイム、彼は雷を落とされている。6月に発売されたホーバスHCの書籍『スーパーチームをつくる! 』(日経BP)では、その様子が赤裸々に語られている。

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 彼の熱量のないプレーぶりがひどかった。その年の夏の東京オリンピックでプレーした選手の多くが、全く勝てなかったことなどもあって疲弊していました。私は代表のユニフォームを着て「やりたい」という気持ちのある選手を招集したのですが、この中国戦の前半での出来を見て、私は彼が「終わった」と感じました。それでハーフタイムに全員の前で、彼に向けて「もうやりたくないならプレーしなくてもいい」と厳しい言葉をなげかけました。すると彼は私を見て「やりたい」と言ったのです(中略)。実際、比江島選手はその試合の後半でも、その次の試合でも良いプレーを見せてくれました。

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 比江島はもともと感情を表に出すタイプではない。ただ、そういう姿勢を求められると理解してから、彼は変わった。

 昨年の日本代表合宿での練習を終えた後、ホーバスHCが笑顔で語っていたことがあった。

「比江島はもう(求められることが)わかっているから、今日はわざと大きな声を出していたね(笑)」

 ただ、比江島の場合、より大きな変化が見られたのはプレースタイルの部分だ。

 彼がゴール下に向かってドライブするとき、独特のステップだけではなく、ボールを相手の目の方向に一瞬動かす動作をすることで、相手をビックリさせるというプロボクサー顔負けのフェイントも大きな武器になっている。だから以前は、「『シューター』か攻撃をクリエイトする『ハンドラーか』か、比江島はどちらのタイプか?」と聞かれれば、後者と答える人が99%だった。

 ところが年々3Pに磨きをかけ、2023-24シーズンにはBリーグでベスト3P成功率賞に輝くまでになった。

 直近5シーズンのBリーグレギュラーシーズンにおける3Pのシュート数と成功率をシーズンごとに見ていくと、彼の進化は一目瞭然だ。

<ホーバスHC就任前>

2019-20シーズン 3.1本 35.2%

2020-21シーズン 2.7本 34.2%

<ホーバスHC就任後>

2021-22シーズン 3.8本 42%

2022-23シーズン 4.5本 43.4%

2023-24シーズン 4.4本 44% ※ベスト3P成功率賞