【テニスルール虎の巻】打ち合いをしている際中に「シングルス・スティック」が倒れた場合はどうなるのか<SMASH>
テニスの試合でシングルス・スティックが倒れた場合、ポイントはレットとなります。
ルール上、ポイントが成立しない場合と成立する場合があります。
スティックが倒れた場合は正確に立て直す必要があり、公式試合では審判が計測して行います。
多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。
そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。
今回は「プレー中にシングルス・スティックが倒れた場合」の対応についてです。ラリーをしている最中に、打球がネットに当たり、その拍子にシングルス・スティックが倒れてしまいました。ではこの時、ルール的にはどのような判断が下されるのでしょうか。
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ラリー中(打ち合っている最中)にシングルス・スティックが倒れてしまった場合、打ったボールがちゃんと相手の正しいコートに入っていれば、その時点でポイントのレット(やり直し)となります。スティックが倒れた時点でレットとなるのです。
ルールブックには以下のように記されています。
「インプレ―中にシングルス・スティックが倒れる、ストラップの止め金が外れるなど、ネットの高さが正常でなくなった場合はレットなる。ただしレットがコールされた時に、下記の状況が起こった場合は、レットは取り消され、そのポイントは成立する」
そして、レットが取り消されてそのポイントが成立するケースにつていは以下のように記しています。
「①ボールがコート内に正しく入らなかった場合、そのボールを打ったプレーヤー・チームは失点する。ただし、ネットが高くなった場合に限り、飛んでいるボールがネットした場合はポイントをやり直す」
「②コート内に正しく入ったボールがウイニングショットまたはエースであった場合、そのボールを打ったプレーヤー・チームの得点になる」
いかがでしょうか。もちろんゲームはシングルス・スティックを立て直してからの再開となります。
シングルス・スティックが倒れた場合、正式にはロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)を呼んで立て直してもらいます。ちゃんとメジャーを使って高さを計って設定します。そのほうが正確に直されるからです。
草大会なのではサーバーやレシーバー側が自分たちでスティックを立て直してゲーム再開となるケースが多いようですが、正式な試合ではちゃんと審判が計測して立て直さなければいけません。
解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年12月号より抜粋・再編集