被打率1割切る…中日・マルティネスの“判別しにくい”スライダー 吉見さん「ジャイロ回転で変化始まるの遅い」

AI要約

中日が阪神を10-8で破り、マルティネスが勝負の場面で原口を打ち取る活躍を見せた。

マルティネスはストレートを多用し、滑り込むようなスライダーで原口を退ける一打を放った。

吉見一起さんによると、マルティネスのスライダーはジャイロ回転が特徴であり、打者が判断しにくい要素を持っている。

被打率1割切る…中日・マルティネスの“判別しにくい”スライダー 吉見さん「ジャイロ回転で変化始まるの遅い」

◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」◇13日 中日10―8阪神(バンテリンドームナゴヤ)

 大山の先制打に始まって、逆転打が2本、同点打と勝ち越し打が各1本の超乱打戦を締めくくったのは、マルティネスだ。ただし、見ている方は冷や汗を流した。1死からの失策と安打で二、三塁。ここで阪神は切り札の原口を代打に送ってきた。

 2点差。当然、中日の内野は定位置だった。三塁走者にはかまわず、同点の二塁走者(代走・植田)の生還を阻むという考えだ。この日のマルティネスは、明らかに力で押していた。佐藤輝(三振)、前川(遊ゴロ失)、大山(右前打)と全球ストレート。12球目に初めて投げた変化球で、原口を右飛に打ち取った。

 「きょうは感覚が良かったからストレートを多く投げたんだ。(原口には)ゴロを打たせようと思ってスライダーを投げたんだけど、正面に飛んでくれて良かったよ」

 クローザーとしては球種も多く、どの変化球も超一流のマルティネスは、直前のブルペンで軸になる球種を確かめる。それがこの日はストレートだったわけだが、前年比で明らかに割合が増えているのが原口を打ち取ったスライダーだ。11・3%から18%超。2割だった被打率も1割を切っている。その特長を吉見一起さんが教えてくれた。

 「ジャイロ回転なんですよ。これは分析されつつあるようなんですが、打者が判別しにくいんです。変化量は小さいですが、変化し始めるのが遅いから打者に合わされにくい。あまり見たことがないので、打者は外されてしまうんです」

 スライダーといえば変化量の大きなスイーパーがもてはやされているが、吉見さんいわく「今はやり」なのがジャイロ回転のスライダー。マルティネスは「いい感じでは投げられているけど、そんなに増えている?」と話したが、恐らくはデータや打者の反応を見た結果、増えたのだろう。ねらったゴロではなくライナーとはなったが、2人の走者をくぎ付けにした大きなアウトで今季2度目の3日連投を乗り切った。4日目はないだろうが、この日は7人継投してなお、ブルペンには4年前の最優秀中継ぎ(祖父江、福)が残っていた。竜の底力を見せつけた勝利でもあった。