馬も人もいい湯だな 福島・いわき市JRA常磐支所、歴史ある名湯にリハビリ施設

AI要約

福島県いわき市にあるJRA競走馬リハビリテーションセンターを訪れ、馬の温泉リハビリについて紹介。

JRAの施設内で故障した馬が療養し、水のメニューを活用してリハビリを行っている様子。

馬と温泉の共通点から、リハビリを終えた馬が「卒業」と称される姿まで紹介。

馬も人もいい湯だな 福島・いわき市JRA常磐支所、歴史ある名湯にリハビリ施設

 千年以上の歴史がある温泉郷で馬がリハビリだ。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は舟元祐二記者が、福島県いわき市にあるJRA競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)へ突撃。馬の温泉があるのは函館とここのみ。オグリキャップ、トウカイテイオー、テイエムオペラオーなど、多くの名馬も在厩経験あり。温泉好きの記者も実際に馬の温泉に入ってみた。

 温泉の町、湯本駅。いわき湯本温泉は道後、有馬とともに日本三古泉(諸説あり)に数えられるそうで、1200年以上の歴史。つまり奈良時代から日本人の体を癒やしてきた日本屈指の湯殿ですね。そこから車で15分ほどのところにJRA競走馬リハビリテーションセンター(常磐支所)があります。

 JRAの施設内、東西トレセンや競馬場で故障した馬が療養するための場所です。浅屈腱炎、骨折。命にかかわる故障をした馬もここへ来ます。当センターの東樹宏太所長によると「けがの割合は今のところ浅屈腱炎が31%、骨折が40%を占めます」。いわき湯本温泉から引いてきた源泉、運動する際に熱が発生してしまうのを軽減するウオーターウオーキングマシン、水の浮力により通常よりも30%減の負荷で運動ができるウオータートレッドミル、そして75年に日本で初めて設置された馬用のプール。これらによる“水のメニュー”で馬のリハビリを行っています。馬房には1月に右前浅屈腱炎が判明したG1馬ジャックドールの名前もありました。東樹所長は「毎日獣医師がチェックしながら、故障馬のリハビリを行っています」。運動後には獣医師さんが心拍を測り常に状態のチェック。万全の態勢でした。

 ご厚意で馬が入る温泉に入らせてもらいました。研修や取材の場合に限り特別に入ることが可能だそうです。そこで乗馬として当センターにいるネバーリグレットとツーショット。温泉は思っていたよりも温かい。足湯だけでしたが、入って数十秒後に、じわーっと足が癒やされました。ずっと入っていたい。隣のネバーリグレットもそう思っていたに違いない。心が通じ合いました。東樹所長は「馬は温泉が好きですよ。出たがらない馬もいますね」。人間と馬は同じとよく言いますが納得です。当センターでは温泉にちなんで、温泉マークをメンコなどの馬具に使用。このグッズ、売っていたら僕もほしい。ネバーリグレットのメンコにもあしらわれていました。似合ってますね。

 「卒業」。これはリハビリを終えた馬が、当センターから出て行く時に言うそうです。東樹所長は「けがが良くなって出て行くわけですから、おめでたいこと。退厩とかもっと言い方はありますけど」。いい響きです。当センターは誰でも無料で見学ができ、温泉、ウオータートレッドミル、プールで運動する馬を見られます。この日も10人以上のファンが見守っていました。昨年は6565人もの人が来たそうです。

 頑張ってリハビリする馬の姿。懸命でかわいい。ぜひ1度、当センターを訪れてみてはいかがでしょうか。

 (ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)