【プロキオンS回顧】“絶対王者”へ大きく前進したヤマニンウルス タイトな流れで見せた対応力

AI要約

ヤマニンウルスが重賞に挑戦し、王者らしい競馬を見せた。流れに乗り、自分のリズムで仕掛けて抜け出す力強さが際立った。

プロキオンSでは相手を圧倒するような勝利を収めたが、ペースが速かったこともあり、競馬のレベルが高まった印象を受けた。

厳しいペースにも負けずに抜け出す姿勢は将来の活躍に期待をさせる。しかし、速いペースには対応できない馬もおり、次戦にも注目が集まる。

【プロキオンS回顧】“絶対王者”へ大きく前進したヤマニンウルス タイトな流れで見せた対応力

ヤマニンウルスの重賞挑戦に際し、思い描いたことがある。それがダートにおける王者の競馬とはなにかということ。どんなコース形態であっても、好位で流れに乗り、ペースに関係なく、自分のリズムで仕掛けて抜け出す。ある意味でライバルたちに付き合わず、ひたすら自分の競馬でひねりつぶす。動じない力強さこそ、王者の証といえよう。強じんな肉体と図太い精神の歯車は簡単には狂わない。出走すれば、我々馬券を買う側も抗いようのなさに絶望すら感じる。そんな絶対王者に果たしてヤマニンウルスはなれるのか。プロキオンSは結果以上に内容を問う競馬だった。

とはいえ、ヤマニンウルスはオープン初出走、6カ月の休み明け。ハードルは決して低くなかったはず。だが、結果は3番手で流れに乗り、4コーナー先頭から押し切った。あまりにあっさり勝つので、呆気にとられた。これで5戦5勝。どうしたって王者のはじまりの予感を抱かせる。あまりに楽々と重賞タイトルを手にしたのでわかりにくいが、このレース、なかなかタイトに流れていた。

プロキオンSは21、22年と小倉ダート1700mで行われた。どちらも重、稍重と今年より速い時計が出る状況で、21年(重)前半500m28.9、700m41.4、22年(稍重)同29.3-41.4。対して今年は良馬場で同28.5-40.4。3歳ブルーサンがかなり突っ込んで入り、ハイペースを演出した。外枠から悠々外3番手を確保したヤマニンウルスは色々なペースへの対応力をみせた。また一段、競馬のレベルがあがったようだ。

かなり速いペースで進んだので、残り800mは12.5-12.6-12.6-12.6と我慢のステージへ。ついて行くのが精一杯なレースだったはずだが、あまりに楽に抜け出すので、そうは見えなかった。ラップタイムの厳しさと見た目の走りが一致しないのも超A級にはよくあること。決して先行型の競馬ではなかった。むしろ、このペースで失速したブルーサン、バスラットレオン、レガーメペスカは次走、落ち着いたペースであっさり巻き返す可能性すらある。