【陸上・男子100メートル】桐生祥秀、戦友たちに思いをはせる 決勝の一発勝負に全てを懸け「1着でゴールしたい」

AI要約

男子100メートルで元日本記録保持者の桐生祥秀が日本選手権で準決勝を突破し、決勝進出を果たした。

桐生は自身のスピードが復活しており、五輪出場に向けて意欲を示している。

若手選手の台頭の中、桐生は経験と実績を生かし、決勝戦で全力を尽くす決意を示している。

【陸上・男子100メートル】桐生祥秀、戦友たちに思いをはせる 決勝の一発勝負に全てを懸け「1着でゴールしたい」

 陸上のパリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権第3日は29日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで行われ、男子100メートル準決勝で元日本記録保持者の桐生祥秀(28)=日本生命=が10秒20で3組2着に入り、決勝に駒を進めた。

 「脚も痛くなくて、体調不良でもないという試合はこの日本選手権が今年初めて。すごい楽しい」。自然と表情も緩んだ。

 準決勝ではゴール前でデーデー・ブルーノにかわされたものの、本来のスピードはよみがえりつつある。元日本記録保持者でもあり、「今シーズンの(10秒)3、4台に比べれば成長している。明日(30日)はまた違う感じのレースになる」と決勝へ自信をにじませた。

 2016年のリオデジャネイロ五輪以来となる100メートルでの五輪出場に向けては期する思いがある。

 同種目で長年競い合い、400メートルリレーでは日の丸を背負って共闘した山縣亮太(セイコー)と多田修平(住友電工)はけがの影響で今大会を欠場した。小池祐貴(同)は決勝進出を逃し、それぞれパリ五輪出場が絶望的。桐生は戦友たちの無念にも思いをはせ、「勝負するスタートに立てないのは出場して権利が取れないよりも全然悔しいと思う」。だからこそ、「1着でゴールしたい」と思いを強くした。

 若手が次々と台頭する中、日本人初の9秒台をたたき出すなど日本短距離界を引っ張ってきた意地がある。「予選を走って手応えを感じたし、準決勝から決勝はもうツーステップくらい上げないと勝てないと思う。何も考えず1本ガツンといく」。修羅場をくぐってきた28歳が決勝の一発勝負に全てを懸ける。