素早い抜け出し、シュートセンス、決定力が浜野まいかの武器。20歳のゴールゲッターは頼れるジョーカーに【パリ五輪の選ばれし18人】

AI要約

浜野まいかは、日本女子代表のメンバーに選ばれ、パリ五輪に挑むことになった。彼女は得点力とシュートセンスを武器に活躍しており、国際親善試合でもその実力を見せつけた。

浜野はセレッソ大阪堺ガールズ出身であり、若干17歳でプロ契約を結んだ。その後、INAC神戸レオネッサやチェルシーでのプレーを経て、存在感を示している。

池田太監督は、浜野の技術や運動量、アイデアに期待を寄せており、海外での成長を待っていた。浜野は過去の大会での悔しい思いをバネに、パリ五輪ではゴールゲッターとして期待されている。

素早い抜け出し、シュートセンス、決定力が浜野まいかの武器。20歳のゴールゲッターは頼れるジョーカーに【パリ五輪の選ばれし18人】

 パリ五輪に挑むなでしこジャパンのメンバーがついに決まった。ここでは12年ぶりのメダル獲得を目ざす日本女子代表の選ばれし18人を紹介。今回はFW浜野まいかだ。

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 サプライズ選出がなかったと言われる今回のパリ五輪メンバーの中で、少し前まで当落線上にいたと見られるのが、浜野まいかだ。

 最終登録メンバー発表前、最後の一戦となったニュージーランド女子代表との国際親善試合の第2戦。後半から出場した浜野は、50分に左CKの流れからこぼれたボールを、右足でゴール左下に収めて1点目を挙げると、その10分後に長谷川唯のクイックリスタートから浜野が相手のディフェンスラインを抜け出し、柔らかいボールタッチからシュートを決め、前半に失点していた試合を一気にひっくり返した。

 相手ゴール前への素早い抜け出しと難しいコースへのシュートセンス、そしてこの日に発揮した決定力こそが浜野の武器だ。

 セレッソ大阪堺レディース(現・セレッソ大阪ヤンマーレディース)の育成組織であるセレッソ大阪堺ガールズからトップチームに昇格した浜野は、コンスタントに得点を決めて活躍すると、WEリーグ開幕前の2021年夏にINAC神戸レオネッサへ移籍して、17歳でプロ契約を結ぶ。

 するとWEリーグ全体のオープニングマッチとなった大宮アルディージャVENTUS戦で、浜野は移籍加入したばかりながら2得点を挙げ、5-0の歴史的な開幕戦勝利に貢献した。

 育成年代の代表チームでも浜野は輝かしい結果を残している。池田太監督が率いるチームの一員として、2022年のU-20女子ワールドカップで全6試合に出場して4得点。決勝戦でU-20スペイン女子代表に1-3で敗れて準優勝となったが、その高い得点力が評価されて大会最優秀選手賞であるゴールデンボール賞に輝き、得点ランキング2位に贈られるシルバーブーツ賞を受賞した。

 2022-23シーズン途中にはI神戸からチェルシー(イングランド)への移籍が決まり、1年目はスウェーデンの強豪ハンマルビーIFにレンタル移籍した。

 海外でのプレーでシュートレンジが広がり、さらに評価を上げた浜野は、チェルシーに戻って世界最高峰と言われるイングランドのWSLでも徐々に存在感を示し、リーグ優勝も経験した。

 池田監督はパリ五輪メンバー発表会見で「女子ワールドカップでは、本当に彼女本人も悔しい思いをしたと思っている。その後、海外のチェルシーでトレーニングし、成長することを待っていた。

 彼女の良さである、しっかりとした技術、運動量、2列目からの飛び出し、持っているアイデア、そういった部分はこのチームでも力になってくれると思った。代表活動のトレーニングでも力を見せてくれていた」と評しながら、2023年の女子W杯前の練習中に左肩を負傷して、同大会では思うようにプレーできなかったことを思い返した。

 浜野は1年前の女子W杯にチーム最年少の19歳で参加し、大きな期待を受けながら、準々決勝のスウェーデン女子代表戦で90+2分からピッチに入るも、初めての女子W杯はたったの数分間で幕を閉じた。

 パリ五輪では、ジョーカーとしての起用が濃厚になるだろう。ゴールゲッターとしての仕事を果たそうとする浜野からは一瞬も目が離せない。

取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)