東洋大3年・柳田大輝、追い風参考で9秒97「風が出ていたので残念というか…」 6・27日本選手権に弾み 男子100メートル/陸上

AI要約

男子100メートルで柳田大輝が追い風参考記録ながら9秒97をマークし、パリ五輪代表入りに向けて弾みをつける。

柳田はスタート時の工夫が功を奏し、自己ベスト更新を果たした。

柳田はパリ五輪代表入りに向けて、日本選手権での好成績を目指す。

東洋大3年・柳田大輝、追い風参考で9秒97「風が出ていたので残念というか…」 6・27日本選手権に弾み 男子100メートル/陸上

陸上・日本学生個人選手権第2日(15日、神奈川・レモンガススタジアム平塚)男子100メートル準決勝で昨夏の世界選手権代表の柳田大輝(20)=東洋大3年=が3・5メートルの追い風参考記録ながら9秒97をマークした。追い風2・0メートルを超える条件下の記録は公認されないが、自身初の〝9秒台〟を体験。追い風1・4メートルの決勝は10秒13で制し、パリ五輪代表が懸かる日本選手権(27日開幕、新潟市)に向けて、弾みをつけた。

湘南の風に背中を押された。準決勝で「9秒97」をマークした柳田は、追い風参考記録となることを示す「+3・5」が電光掲示板に表示されると、舌を出して「マジかー!」と苦笑いを浮かべた。

「先にタイムを見たのでよっしゃと思ったが、すぐ横を見たら、風が出ていたので残念というか…。参考記録でも(9秒台を)出��たのはうれしい」

小さな工夫が功を奏した。柳田はスタート時に右足を後ろに置いて構えるが、準決勝からは右足のスターティングブロックの位置を10センチ弱、前に出したという。自己ベストの10秒02で優勝した昨夏のアジア選手権と同じ位置で課題としていたスタートが決まり、好記録を出した。

身長183センチで恵まれた体格の持ち主だが、昨年から筋肉量が約2キロ増えてパワーアップした。5月末には世界最高峰のダイヤモンドリーグ(米オレゴン州)に個人種目で初出場(10秒26で8位)するなど、着実にトップランナーへの階段を上がっている。

今夏のパリ五輪で男子100メートル代表はサニブラウン・ハキーム(東レ)が内定済み。今月27日開幕の日本選手権で残り2枠が争われる。参加標準記録(10秒00)を突破し、優勝すれば即内定。柳田はWAランキングでサニブラウンに次ぐ日本勢2番手で、2位以内がパリ行きの基準となる。

この日は三段跳びの選手だった父、輝光さんが会場で応援していた。16日は父の日。「帰りに一緒にご飯を食べようかな」と笑った。日本短距離界のホープが、追い風に乗って花の都まで突っ走る。(川並温美)

■柳田 大輝(やなぎた・ひろき) 2003(平成15)年7月25日生まれ、20歳。群馬・館林市出身。館林一中、東農大二高から東洋大。日本選手権100メートルで22年3位、23年2位。21年東京五輪の男子400メートルリレー日本代表補欠。22、23年世界選手権男子400メートルリレー代表、23年大会は男子100メートルで準決勝進出。23年アジア選手権100メートル優勝。100メートルの自己ベストは10秒02。183センチ、78キロ。