天皇杯での“ラフプレー”、負傷者4人、敗戦でSNS炎上…町田の選手たちが語る複雑な思い「僕たちもファウルするために行くわけではない」

AI要約

町田ゼルビアは天皇杯で敗れた後、様々な意見がSNS上で飛び交い、選手たちが逆転勝利を挙げたことで喜びを口にした。

選手たちは批判や負傷者に対して冷静に対応し、サポーターやチームへの思いを尊重しながら試合に集中した。

町田は勝利を重視し、J1リーグで首位に立ち、選手たちは優勝を目指して一致団結している。

天皇杯での“ラフプレー”、負傷者4人、敗戦でSNS炎上…町田の選手たちが語る複雑な思い「僕たちもファウルするために行くわけではない」

[6.15 J1第18節 横浜FM 1-3 町田 日産ス]

 FC町田ゼルビアは12日の天皇杯で筑波大に敗れ、そのなかで4選手が負傷。黒田剛監督が相手チームに苦言を呈したことで、SNS上では様々な意見が飛び交った。中2日で迎えた今節は横浜F・マリノスに逆転勝利。試合後、選手たちは数日間の思いを口にした。

 FW藤尾翔太は冷静だった。「SNSで書かれていることは僕らにはコントロールできない。それを気にしても仕方がない」。自身はU-23日本代表の活動でアメリカ遠征に出ており、天皇杯は欠場。11日の試合後、飛行機のなかで時差ボケ対策をしながら帰国すると今節で即先発。「僕らは僕らでそういうところは何も考えず、コントロールできる部分はプレーで示す。試合に集中するだけ」。逆転ゴールで勝利に貢献。「サポーターと一緒に喜びたい気持ちが強かったので、みんなとサポーターのほうに行った」と笑顔を見せた。

 藤尾と同じく、MF平河悠もU-23日本代表活動から帰還後に即スタメン入り。サイドで圧巻の突破を連発した。移動中で見られなかった天皇杯は改めて観戦しており、「やっぱり思うところはある」と本音をのぞかせる。「4人怪我人が出るような試合は歯がゆいものがある。今日はその4人の分まで気持ちを入れて(試合に)入った」。大学生に負けたことで町田への風当たりも強まった。「そういう批判の声もたくさん聞こえてきた」と認めながら「自分たちは本当にただサッカーをやっているだけなので」と気にせず。「(批判を)黙らせる意味でも今日は勝ってよかった」と力を込めた。

 3点目をFKで沈めたMF下田北斗は天皇杯で戦った両チームを慮る。「僕もいろんな記事やSNS、いろんな声を聞いて、正解はないというか。それぞれの立場でいろんな受け取り方がある中で、僕はしっかりピッチで表現することというか、ゼルビアを応援してくれているサポーターの方が胸を張って応援できる試合をしたいと思っていた」。天皇杯では激しい競り合いもあったが「けっして全員がラフプレーをしたくてしているわけではない。相手も含めてそうだと思う」と強調。「怪我は仕方がない部分もある。そういったなかでフェアプレーというか、しっかり戦うことは意識して準備してきた」と目の前の試合に集中していたようだ。

 MFバスケス・バイロンは、青森山田高時代からの恩師でもある黒田監督の考えを汲む。相手チームへの苦言について「監督はたぶん選手のことを思って、ああいうことを言ったと思う」と言及した。「この2日間、SNSでも町田に対する批判があった。みんなで話もしたが、SNS見ても全部町田が出てくる」。自身への痛み以上に、自クラブのサポーターへの思いを尊重。「一番はサポーター。応援しているチームがあんなに批判されたら、たぶんつらい思いをするだろうと。ちょっと複雑だった」と胸中を吐露した。

 球際の強さは町田のストロングであり、その激しさゆえに“ラフプレー”と揶揄されることもある。天皇杯ではその部分が両チームともに大きく取り沙汰された。バスケスは「もちろん、僕たちもファウルするために行くわけではない」と語気を強める。「ボールを奪うために厳しく行きたいという思考で、それでファウルになったりすることもある」と理解を求めた。

 バスケス曰く、DF昌子源から試合前に喝を入れられたという。「源くんが話してくれたが、いろいろ世間で騒がれたが、ここで行かなくなったら俺たちではないと。そんなプレーじゃ勝てないぞと鼓舞してくれた」(バスケス)。昌子も自身の話を振り返り、「サッカーって怪我は仕方がないという言い方はあれだが、隣り合わせ」と試合に臨む心構えを説いた。

「マリノスさん相手に苦しいシーンはたぶん多々ある。その苦しさは、天皇杯で怪我をした4人に比べれば、好きなサッカーができない苦しさに比べれば、なんてことない苦しさ。彼らの思いを背負ってしっかり勝とうという話をした」(昌子)

 勝負へのこだわりを徹底し、町田は初のJ1リーグで首位に立つ。選手たちは一試合一試合ごとに集中力を研ぎ澄ませ、前人未踏の偉業となる優勝まで突き進むつもりだ。