WECハイパーカークラス、来季から各メーカー2台体制での参戦が義務に。既存メーカーに加え、新規参戦アストンも用意に動く

AI要約

WECが来季からハイパーカークラスへの参戦メーカーに2台体制を義務付ける方針を発表。

FIAとACOがこの変更内容を認め、エントリー枠が40台に拡大される2025年に実施。

アストンマーティンも2台のヴァルキリーをWECに投入する意向を示す。

キャデラック、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニなどが2台体制への適合が必要。

JOTAはポルシェからキャデラックのファクトリーチームに移行し、2台のVシリーズ.Rを投入予定。

耐久モータースポーツを取り巻くメーカーの動向や参戦計画に注目。

レギュレーション変更に対応していく各メーカーの戦略が重要。

WECハイパーカークラス、来季から各メーカー2台体制での参戦が義務に。既存メーカーに加え、新規参戦アストンも用意に動く

 既にmotorsport.comが報じた通り、世界耐久選手権(WEC)は来季から、ハイパーカークラスへ参戦するメーカーに2台体制での参戦を義務付ける方針と見られていた。そして、今年のル・マン24時間レースの決勝を今週末に控えた金曜日の定例記者会見で、WEC主催者であるFIAとACO(西フランス自動車クラブ)がこのレギュレーション変更内容を認めた。

 FIAのリシャール・ミル耐久委員長は次のように語った。

「世界選手権としては理に適っている。各メーカーは2台のマシンを用意すべきだ」

「我々はマニュファクチャラーに本気のモノを持ち込んで欲しいと思っている。もうひとつの要素はBoP(性能調整)に関するもので、2台のマシンデータが必要だ」

 この2台体制レギュレーションは、2025年にWECのエントリー枠が全37台から全40台に拡大されることと連動している。

 WECのシリーズCEOであるフレデリック・ルキアンは昨年、40台という目標を明らかにしており、今回の記者会見でもこれが認められた。

 現在、ハイパーカークラスに参戦するメーカーでこの2台体制レギュレーションに対応しなければならないのは、キャデラック、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニの3社で、これらは今年のWECに1台体制で出走している。

 また来季からハイパーカークラスに参戦する予定のアストンマーティンは、昨年10月のプロジェクト立ち上げ時に、非ハイブリッドのヴァルキリーAMR-LMHをWECとIMSAスポーツカー選手権の両方に1台ずつ投入することを発表していた。しかし先月、レギュレーション変更にも「適応していく」として、計画が頓挫することはないと強調していた。

 そして今回、ACOの記者会見に併せてアストンマーティンは声明を発表し、ファクトリーチームであるハート・オブ・レーシングが2台のヴァルキリーをWECに投入する意向であることを認めた。

 アストンマーティンの耐久モータースポーツ主任であるアダム・カーターは次のように語った。

「2025年、我々のワークスチームであるハート・オブ・レーシングと共に、2台のアストンマーティン・ヴァルキリーAMR-LMHをグリッドに投入し、世界最高のスポーツカーメーカーの素晴らしい面々と戦うつもりだ」

 キャデラックの親会社であるゼネラル・モーターズでスポーツカーレース主任を務めるローラ・ウォントロップ・クラウザーは、motorsport.comの取材に対して「やってくるレギュレーションに対応していく」と語った。

 来年からはイギリスのJOTAが、現在のポルシェ963LMDhを駆るカスタマー体制から、キャデラックのファクトリーチームに移行すると考えられ、2台のVシリーズ.Rがグリッドに並ぶことは間違いなさそうだ。

 またアイアン・リンクスが代表チームを務めるランボルギーニは、昨年7月の発表時から、2025年に2台体制でWECへ参戦する意向を示していた。

 そしてもう1社のイソッタ・フラスキーニでモータースポーツ代表を務めるクラウディオ・ベッロは、2台目のティーポ6コンペティツィオーネLMHにパートナーチームのデュケーヌと共に取り組むことが優先事項だと説明した。

「今のところ、他のチームを探すことは考えていない」とベッロはmotorsport.comに語った。