ミスターオリンピアがナチュラルボディビルを奪いにきた?【ドーピング問題を考える/バズーカ岡田】

AI要約

IFBBプロリーグがナチュラルボディビルの大会を開催する動きがあり、世界のボディビル界に大きな影響が出る可能性がある。

IFBBプロリーグが尿検査とポリグラフ検査を実施することを明らかにし、ナチュラルボディビル市場に進出しようとしている。この動きが全てのボディビルの総本山をIFBBプロリーグに近づける可能性もある。

競技レベルが高いTestedな団体とUn-Testedな団体という枠組みが変化し、日本のボディビル界に新たな展開が訪れる可能性がある。

ミスターオリンピアがナチュラルボディビルを奪いにきた?【ドーピング問題を考える/バズーカ岡田】

――先日、YouTubeにて、ミスターオリンピアを主宰するIFBBプロリーグが、ナチュラルボディビルの大会を開催する動きがあると話されていました。世界のボディビル界を揺るがす動きであると感じます。

「世界で最も権威あるボディビル団体といえば、ミスターオリンピアを開催しているIFBBプロリーグでしょう。一方で、IFBBプロリーグといえばドラッグボディビルというイメージもあります。そんなIFBBプロリーグですが、ナチュラルを冠する大会では尿検査とポリグラフ検査の両方を実施すると発表しました」

――IFBBプロリーグの傘下にNPC WORLDWIDEがあり、FWJ(Fitness World Japan)と提携している現状、選手たちが出場団体を選ぶ基準が変わってくる可能性もあるのではないでしょうか。

「本当にその通りです。IFBBプロリーグは、成長してきた世界のナチュラルボディビル市場を奪いにきたと、私は思っています。私が去年出場したWNBF(World Natural Bodybuilding Federation)の世界選手権では50か国で300人以上の選手が出場していましたが、それも全て刈り取りにきているとすら感じます。もしその大会が実現して開催されれば、世界最高峰のIFBBプロリーグが主催する『ナチュラル・ミスターオリンピア』と言えるものが誕生する可能性もあるわけです。ミスターオリンピアのブランド力を考えれば、出たいと思う選手はたくさん存在するでしょう」

――全てのボディビルの総本山がIFBBプロリーグになる未来が近づいているということですね。

「そのシナリオを描いていると思います。もしそうなったら、果たして日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)と、その先にあるIFBBエリートプロの価値はいったいどうなっていってしまうのか…そう憂いています。例えばJBBFで優勝し続けて、もうここではやるべきことがないと感じてしまった選手はどこへ行くのか…ナチュラルオリンピアを目指す可能性は十分にありますよね。

また、すでにお話ししたように、Tested(ドーピング検査を行なっている)の大会に出場する選手が、Un-Tested(検査を行なっていない)の大会に出場することは、今の日本人の価値観はさておき、少なくとも世界の価値基準としては何の問題もない可能性があります。つまり、しっかりと検査してナチュラル・ミスターオリンピアを制したら、次はミスターオリンピアに出て、ドラッグボディビルダーとナチュラルで戦う自由もあるということになります」

――まだ大会が行なわれていない現在では仮定の話ですが、そう遠くない未来の話ですね。

「可能性は頭に入れておいた方が良いと思います、本当に。今の日本においては、競技レベルが高くTestedな団体であるJBBFと、Un-Testedなその他の団体という見方をすることができます。今は自分の教え子たちに『ナチュラルでボディビルをやるのだから、検査を実施していて競技レベルの高いJBBFに出場すべし』と言っていますが、もうその理屈は通用しなくなるわけです。世界を目指す上で、そして自分の価値を最大化するために、どの団体に出たら良いか、考え方にも変化が訪れてもおかしくありません。それでも出場したいと思えるJBBFでいてほしいと願っています」

(最終回へ続く)