「クソ悔しい」石川祐希も指摘した宮浦健人の“消極的なプレー”…それでも、“背番号4”に期待してしまう理由「パリで目撃した限界突破の筋トレ」

AI要約

宮浦健人が世界ランク1位の相手に不完全燃焼で敗れ、悔しさを感じる。

VNLでの3勝1敗という好成績も、力不足を感じている宮浦にとっては満足できない。

自身の力不足を克服し、対応力を高めるために努力している宮浦の姿が浮かび上がる。

「クソ悔しい」石川祐希も指摘した宮浦健人の“消極的なプレー”…それでも、“背番号4”に期待してしまう理由「パリで目撃した限界突破の筋トレ」

 世界ランク1位の相手に対して、1本目のプレーが自分から始まる。

 高ぶる気持ちを抑え、冷静に。一度高くトスを上げ、息を吐く。何度も繰り返したルーティンで、いつも通りに。宮浦健人は静かに燃えていた。

 バレーボールネーションズリーグ(VNL)福岡ラウンド3試合目、強豪ポーランドとの一戦は日本のサーブから。最初のサーバーが宮浦だった。

 エンドの中央エリアから狙い通り、得意なコースへ打ったサーブで意識したのは「攻める」よりも「正確さ」。

「サーブはメンタル的な要素、影響が強いので。最初の1本はまず入れて、次は攻めよう、と決めていました」

 間違いではない。むしろ、最初の1本なのだから、ミスのリスクを減らすことを優先するのは正しい選択だったかもしれない。ただ、爆発する姿を何度も見てきたからこそ、しかもそのきっかけがサーブである場面が色濃く焼き付いているからこそ、少し物足りなくも感じた。

 もっと攻めればいいのに。もっと攻める力があるのに。

 最初のサーブだけでなく、宮浦自身も「序盤にブロックで止められて、よくないイメージが残ってしまった」と明かしたように、中盤以降は本来の持ち味である豪快さとしなやかのあるスパイクで得点する場面もあったが、「それが続かなかった」と反省の弁を述べた。

 世界ランク1位の相手にストレートで敗れたことよりも、不完全燃焼で終えた試合に、宮浦も落胆しているように見えた。

「(試合前の声援を受けて)期待して下さっている方がたくさんいるのを感じました。だから今日、そこで自分のパフォーマンスができなかったのが、すごく悔しいです」

 大きな壁の前で、宮浦はもがいていた。

「クソ悔しいです」

 5月21日に開幕したVNLのブラジルラウンドを終えたあと、宮浦はこちらが想像した通りの言葉を口にした。

 アルゼンチン、セルビア、キューバに3連勝。4戦目でイタリアに敗れはしたが、五輪出場を懸けてベストメンバーで臨んでくる相手に対して日本は3勝1敗という好スタートを切った。宮浦個人に目を向けても、最初の2戦は2枚替えで投入されると直後にスパイクを決めて期待に応えた。スタメン出場してイタリア戦ではチーム最多の20得点を叩き出している。

 果たすべき役割は十分果たしているように見えるが、満足どころか「クソ悔しい」。理由は、宮浦自身が一番わかっていた。

「まだまだ自分の力不足を感じました。今、調子は悪くないんですけど、自分にやれることを100%出したかというと、まだまだ。もやもやするような感じだったし、試合に出て結果を出せないのはただ自分の力不足なので。試合の中でも相手に対応して、解決策を生み出す。対応力が大事だと思っています」

 問いかけに頷きながら「うーん」とか「なんだろうな」と前置きしながら飾り気のない言葉で感情を表現する。その中で何度も繰り返したのが「力不足」という言葉。ブロックしたかった。もう少しできた。そう、時折苦笑しながら悔しさをにじませた。