阪神・岡田監督、1戦目「もうええわ」2戦目「もうええやろ」そして3戦目は「オレはもうええやろ」…ロッテ戦、“同じ一言”のいろんな意味

AI要約

阪神の3試合連続の9回に追いつかれてのサヨナラ負けに対する岡田監督の対応に注目。才木の活躍や打順の入れ替えなど、勝利に向けた戦略を展開。

岡田監督の考え方や信条について紹介。野球において様々な作戦を持つことの重要性と、勝利を目指すための努力について述べられている。

虎番記者である田所龍一のプロフィールも紹介。長年野球に関わり、執筆活動も行っている。

阪神・岡田監督、1戦目「もうええわ」2戦目「もうええやろ」そして3戦目は「オレはもうええやろ」…ロッテ戦、“同じ一言”のいろんな意味

◇コラム「田所龍一の岡田監督『アレやコレ』」

 3試合連続で9回に追いつかれてのサヨナラ負け? まさか、そんな悪夢が…。2日のロッテ戦(ZOZOマリン)、阪神の先発・才木が9回無死一、二塁のピンチを招いたとき、虎ファンは手を合わせて天に祈った。ソトを遊ゴロ併殺、ポランコを二ゴロ。マウンドで雄叫びを上げガッツポーズする才木に梅野が抱きついた。勝った、いや、勝てた―という方がピッタリ。

 「才木に聞いたれよ。オレはもうええやろ」。これが試合後の岡田監督の第一声。実はこのロッテ戦、岡田監督は2戦連続で同じ言葉で試合後の記者会見を避けていた。

 1戦目「もうええわ」。その口調には選手への怒りが含まれていた。2戦目「もうええやろ」。見ての通りや。何も聞かんといてくれ―という思い。そして3戦目の「オレはもうええやろ」は、聞いてほしい―の表れ。岡田監督は同じ一言でもいろんな意味が含まれており、理解するは至難の業なのだ。

 「9回にサヨナラ負けが頭をよぎったかって? よぎるもなにも目の前で見とったんやから、腹くくるしかないやん。才木に託すしかないやろ」

このロッテ3連戦、岡田監督はこれでもか―といわんばかりに打順を入れ替えた。スタメンから森下を外したり、4番・大山を7番に下げ、近本を4番に…。

 岡田監督にはある「信条」がある。それは、やりたい野球を一つに固定しないことだ。著書の中でこう語っている。

 「オレは自分がやりたい野球―という考え方をしない。野球にはいろんな作戦があって、その中のどれを選ぶのか―が勝負。そのためにはいろんな“引き出し”を持たなあかん。オレは最悪のことから想定して作戦を立てる。この場合はどうするか、こうなったらどうしよう―といろんなケースを想定して引き出しに入れているんや」

 この日の「1番・森下」も数ある引き出しから取り出した作戦のひとつなのだ。その森下が放った“先頭打者本塁打”の1点を守り切って交流戦初勝利。

 「森下にはホームランは打たんでええ。そのかわり全部塁に出ろ―というたのにな」

 岡田監督は不満そうに笑ってみせた。

 ▼田所龍一(たどころ・りゅういち) 1956(昭和31)年3月6日生まれ、大阪府池田市出身の68歳。大阪芸術大学芸術学部文芸学科卒。79年にサンケイスポーツ入社。同年12月から虎番記者に。85年の「日本一」など10年にわたって担当。その後、産経新聞社運動部長、京都、中部総局長など歴任。産経新聞夕刊で『虎番疾風録』『勇者の物語』『小林繁伝』を執筆。