阪神・森下 プロ初の先頭打者弾 岡田監督「ホームラン打つな」指令も106打席ぶり6号

AI要約

阪神の森下翔太選手が試合開始早々に先頭打者本塁打を放ち、5連敗を止める勝利に貢献。チームとしての重圧から一挙に解放された雰囲気が漂った。

森下は今季4度目の「1番」で起用され、打撃練習後に指揮官から「全ての打席で出塁せよ」との指示を受ける。そのヒントを活かし、意識的にコンパクトなスイングを意識し、逆境から脱し猛打賞を達成する。

この一発が勝利をもたらし、新たな勢いへのきっかけとなった。阪神の球団史上初めてとなる先頭打者本塁打による「1-0」勝利は、57年ぶりの快挙であった。

阪神・森下 プロ初の先頭打者弾 岡田監督「ホームラン打つな」指令も106打席ぶり6号

 「ロッテ0-1阪神」(2日、ZOZOマリンスタジアム)

 5連敗の重苦しい雰囲気をひと振りでぶち破った。試合開始早々、阪神・森下翔太外野手の応援歌が一気に大歓声に変わる。ベンチでチームメートに手荒い祝福を受けると、森下の笑顔もはじけた。

 「先頭打者のホームランも記憶上はあんまりないので。自分の思う限りは初めてだったので、すごくよかった」

 この日は今季4度目の「1番」で起用された。試合前に平田ヘッドコーチから告げられ、「チームの顔が1番だから」とハッパもかけられた。「1番という打順は結構好きなので。ここ2試合、良い成績が出ていなかったので、切り替えて思い切っていこう」。2戦連続無安打だったこともあり、気合を入れて初回の打席に立った。

 カウント1-2とメルセデスに追い込まれた状況でも冷静だった。高めに浮いた134キロチェンジアップを振り抜いた。打球は虎党の待つ左翼スタンドへ。プロ初の先頭打者弾は、4月26日・ヤクルト戦以来、106打席ぶりの今季6号。苦しむチームを救う大きな一発に岡田監督もさぞ大喜びのはず…。しかし、ベンチで出迎えた指揮官がハイタッチしながらかけた言葉は「なんでホームラン打つんや」。それには理由があった。

 「ホームランは打つな言うたのに。その代わり全部塁に出ろ言うたんやけど」と指揮官。打撃練習後、森下に声をかけ、1番打者としての役割を求めた。それに対し、森下も「全打席出塁します」と宣言。「してこい」と送り出された。練習でも大振りになっていたといい、「コンパクトにいこう」と意識した結果が、まさかのホームランになったというわけだ。

 それでも結果的にはこの1点があったからこその勝利。ようやく連敗を止め、チームの救世主となったことには変わりない。三回の左前打を含めて3試合ぶりのマルチ安打とし、八回には四球も選んだ。4打席中3度出塁し、「まだ交流戦も2カード消化しただけで、ここから巻き返せると思うので、気を引き締めてやっていきたい」。この一戦を機に、自身としても、チームとしても上昇していく。

 ◆「表」では球団初!57年ぶり先頭打者弾による「1-0」勝利 阪神が初回先頭打者本塁打によるスコア「1-0」勝利を飾るのは1967年7月22日・サンケイ戦(甲子園)以来、57年ぶりで球団史上2度目。打者は本紙評論家・藤田平氏で相手先発・巽から一回裏に放った。投げては村山-若生-権藤の完封リレー。なおプロ野球14度目、セ・リーグ8度目。