HPVワクチン副反応の根拠、2論文の科学的欠陥を解説

AI要約

近畿大学医学部の城玲央奈助教らは、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの副反応の根拠とされる二つの説の科学的欠陥を指摘し、免疫学の観点からその誤りを解説した。

HPVワクチンの主成分であるL1タンパク質が脳などのタンパク質と類似しているため、HPVワクチン接種後に生じる副反応に関する仮説が提唱されたが、城助教らは器官に結合する証拠がないことを示した。

また、マウスに接種した際に神経系障害が報告されたが、その研究方法に問題があり、論文も撤回されていることが指摘された。

近畿大学医学部の城玲央奈助教らは、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの副反応の根拠とされる二つの説の論文の科学的欠陥をイラストで解説した。HPVは子宮頸(けい)がんなどの要因となっているが、HPVワクチン接種を危険とする仮説がある。免疫学の観点から仮説の誤りを指摘した。専門家や医療関係者に加え一般の人にも啓発でき、HPVワクチンの対象年齢を超えて行うキャッチアップ接種の促進につながる。

HPVワクチンの主成分はウイルスに含まれるたんぱく質「L1」で、人間の脳などにあるたんぱく質と分子レベルで類似する。このためHPVワクチン接種でできたL1抗体が脳などにも結合して器官の障害が生じるとする仮説が副反応の根拠とされた。城助教らは器官に結合する証拠はないとしており、イラストで解説した。

またマウスに接種すると神経系障害が起こるという論文もある。ただ研究手法などに問題があり、雑誌掲載を撤回されており、これもイラストで理解を促した。

今回の論文は日本ウイルス学会誌「ウイルス」に掲載された。