「熱波」にもハリケーンのように名前を 欧米で危機意識高めようと議論

AI要約

欧米で熱波にも名称を付けるべきか議論が活発化しており、専門家らは熱波の名称付けが重要と提唱している。

世界各地で続く酷暑により、インドやサウジアラビアで熱中症による死亡者が続出するなど、地球の状況が深刻化している。

ハリケーンのように熱波に名称を付ける提案があり、既にスペインのセビリア市で具体的な熱波の警戒システムが導入されている。

この夏も世界各地で酷暑が続き、熱中症対策が人命にかかわる課題となっている。欧米では酷暑の危険性を周知する試みとして、北大西洋などで発生するハリケーンに倣い、熱波にも名称を付けるべきだとの議論が活発になっている。ハリケーンの場合、人名を用いた名称のリストがあらかじめ用意されており、発生順に名称を当てはめていく国際的な基準がある。専門家らは、到来する熱波にも名称を付けて認知度を高め、危機意識を持ってもらうべきだと提唱している。

■「地球沸騰」世界各地で酷暑

気候変動関連ニュースを扱う米通信ブルームバーググリーンによると、英国に本部を置く国際団体「生理学協会」などが熱波に名称を付けるよう気象学者らに提言している。欧米メディアでも「熱波に(名称を付ける)考えを当てはめてはどうか」(米ニュースサイト「Vox」)との問題提起が相次いでいる。

背景にあるのが「地球沸騰化」とも評される近年の世界的酷暑だ。

英BBC放送(電子版)によると6月、インド北部では気温44~45度の日が軒並み続いた。サウジアラビアからの報道によれば、イスラム教の聖地メッカで6月14~19日に行われた今年の「大巡礼(ハッジ)」では熱中症などにより1300人以上が死亡した。期間中の最高気温は50度を超えた。

欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は7月、世界の平均気温が同月22日に17・16度となり、1940年からの観測史上で最も暑い日になったと発表した。

■ハリケーンは人名使ったリストで命名

ハリケーンは世界気象機関(WMO)が作成した名称のリストに基づいて命名されている。アルファベット順に並んだ21個の人名から成るリストが6種類あり、1年ごとに使い回す。

今年は「アルベルト」「ベリル」「クリス」の順に名称が用意されており、発生順に命名されている。6月にメキシコ湾で発生したハリケーンが「アルベルト」、7月上旬にかけてカリブ海などで猛威を振るったハリケーンは「ベリル」と名付けられた。

熱波の命名を巡っては、スペイン南部セビリア市の試みが先例として注目されている。米誌タイムによると、セビリア市は22年7月、熱波の危険度を3つに分類し、最も危険な部類の熱波に名称を付ける制度を導入した。